3.LGBTと結婚、生物学的多様性
LGBTという言葉が話題となっています。レズビアン(Lesbian)、ゲイ(Gay)、バイセクシュアル(Bisexual)の3つの性的指向と、トランスジェンダー(Transgender)という性自認の各単語の頭文字を組み合わせた表現です。最近では、LGBTでは不十分であり、LGBTQ、LGBTQ+と表現すべきという意見もあります。
私は長年ファッション業界で仕事をしてきたので、LGBTにはあまり抵抗がありません。人生いろいろですから、それぞれの人が好きに生きればいいと思います。
有名デザイナーの多くがゲイであることは公然の秘密ですし、ファッション業界、ヘア&メイク業界ではゲイであることをカミングアウトしても、差別を受けないと言われています。
LGBTと共に、同性婚も問題になっています。結婚となると、法律的な問題になります。
フランスでは婚姻届を出さずに、家族として生活する人も少なくありません。多分、個人的な関係を国に認定してもらう必要はないと考えているのでしょう。事実上、同性婚をしている人も少なくありません。
そういう社会になれば、LGBTも同性婚の問題も解決するのではないでしょうか。つまり、両親と子供の関係を婚姻関係より優先し、DNA鑑定等で実子と認定されれば、扶養義務や相続の権利は生じるという法律を整備するということです。また、財産の相続に関しては実子がいない場合は、遺言で指定すれば、個人にも法人にも相続権を与えることができるようにします。
もちろん、現行の結婚制度は維持し、法的な婚姻関係を望む人は結婚すれば良いでしょう。そうすれば戸籍に記載することができます。
次に性別について考えたいと思います。そもそも、なぜ人には性別があるのでしょうか。雌雄同体の生物もいますし、雌が単独で子供をつくる単為生殖もあります。
有性生殖の意義は、2つの細胞(精子と卵子)の接合によって両者の遺伝子が組み替えられ、新たな遺伝子の組み合わせを持つ個体が生じることです。つまり、多様性が進むということです。
人には免疫に関わる「HLA遺伝子」があり、多様であるほど感染症などに強くなるそうです。そして、女性は自分と異なる「HLA遺伝子」を持つ男性の匂いを「良い匂い」と感じるそうです。
多様性という意味では、外国人に惹かれるのも自然なメカニズムかもしれません。
但し、やっかいなことに、我々は生物学的な問題だけでなく、経済的、社会的、文化的、民族的、宗教的問題等を抱えています。これらは、必ずしも多様性を良しとしません。同一性を重視し、異質なものを敵とみなし、多様性を排除することもあります。
生物学的に異性婚は多様性を志向するものですが、異性婚だけが正しいとして、異質なものを排除する考え方が強くなると、社会的に性の多様性を認められなくなります。いずれにしても、どちらが正しく、どちらが誤りと決めつける態度は多様性を阻害します。互いが異論を許容し、意見の多様性を緩く認めることで社会は円滑に回っていくのではないでしょうか。
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