過去最大の赤字「楽天グループ」の資金繰りは本当に大丈夫なのか?倒産リスクを徹底検証

 

赤字続きだが、キャッシュは増えている楽天

冒頭にも見たように、楽天は今期過去最大の赤字を計上しました。ここ数年を見ても営業利益ベースで赤字が続いています(図表5)。これだけ赤字が続くと「財務の健全性は大丈夫か」「倒産するのではないのか」と感じる人もいるのではないでしょうか。

出所:楽天の有価証券報告書及び決算短信より筆者作成

出所:楽天の有価証券報告書及び決算短信より筆者作成

以下では、キャッシュの観点から楽天の倒産のリスクについて見てみましょう。企業が倒産をするのは、手元のキャッシュがなくなったときです。見方を変えれば、キャッシュがあり、資金繰りさえ対応できれば企業は倒産しないのです。最近でいうと、メガベンチャーやスタートアップ企業は多くの赤字を計上しながらも、成長を続けていますが、その理由は、成長することを前提として、投資家から資金の調達が出来ているからです。

では、楽天の場合はどうでしょうか。企業の資金繰りを見る際には、キャッシュフロー計算書を確認します。楽天のキャッシュフロー計算書をみると、ここ数年はキャッシュが増えていて、直近では4.7兆円近くもあります。その理由は、財務キャッシュフローでの調達を多くしているためです。

出所:楽天の有価証券報告書及び決算短信より筆者作成

出所:楽天の有価証券報告書及び決算短信より筆者作成

これだけ見れば、資金をきちんと手当していることから、すぐに資金繰りで窮することはなさそうです。ただし、ここで気をつけることがあります。楽天はフィンテック事業において、銀行や証券会社を傘下に抱えていますが、これら金融事業の預金等は当然ながら、インターネットサービスやモバイル事業に使うことは出来ません。

例えば、2022年12月期において、楽天は営業活動によるキャッシュ・フロー(以下、営業CF)において、銀行事業の預金の増減額で、約1.6兆円増えていますが、このお金は銀行事業でしか使うことが出来ないものです。

そのため、楽天のキャッシュフロー計算書を分析するにあたっては、金融事業であるフィンテック事業とそれ以外の非金融事業を分けてキャシュフローを見る必要があるのです。

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