過去最大の赤字「楽天グループ」の資金繰りは本当に大丈夫なのか?倒産リスクを徹底検証

 

非金融事業ではキャッシュが減っている

それでは、セグメント別にキャッシュフロー計算書を見てみましょう。図表7は、楽天が開示している非金融事業のキャッシュフロー計算書をまとめたものです。この非金融事業というのは実質的にインターネットサービス事業とモバイル事業のキャッシュフロー計算書と考えられます。

出所:楽天の決算データーシートより筆者作成

出所:楽天の決算データーシートより筆者作成

キャッシュフロー計算書全体で見れば、キャッシュは約2,800億円増えていましたが、非金融事業のキャッシュフロー計算書では、キャッシュは4,427億円減少しています。

もう少し詳しく見てきましょう。非金融事業における営業CFについては、キャッシュアウトしない減価償却費および償却費において、2,661億円のプラスがあるものの、全体としては3,154億円のマイナスとなっています。

投資活動によるキャッシュフロー(以下、投資CF)はマイナス4,328億円と大きな投資をしていることがわかります。その中でも有形固定資産への投資は2,897億円と3,000億円近くになっています。これら営業CFと投資CFのマイナスを、楽天は財務活動によるキャッシュフロー(以下、財務CF)で補っています。具体的には、借入金と社債により返済分を考慮に入れてネットで3,000億円強調達をしています。

そのため、ざっくりいうと、インターネットサービス事業とモバイル事業のキャッシュについては、営業CFでマイナスの3,100億円、投資CFでマイナスの4,300億円、そして財務CFで3,000億円調達をして、トータルでは4,400億円強のキャッシュが減ったということになります。

関連で、金融事業であるフィンテック事業も同様に確認してみると、営業CFは441億円のプラス、投資CFは5,196億円のマイナス、そして財務CFは1.18兆円のプラスで、トータルでは7,057億円のプラスになっています。

金融事業で投資CFが5,000億円以上もマイナスになっているのは、銀行事業の有価証券の取得による支出が1.4兆円近くもあるからです。つまり、金融事業における投資というのは、設備投資等ではなく、銀行事業による有価証券の取得によるものなのです。

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