特別支援学校卒業後の重度障がい者の「進路」にあと少しの柔軟性を

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重度の障がいをもつ人は、特別支援学校卒業後の進路でも福祉の仕組みに乗るケースが大半のようです。そのため活動の幅が広がらず、可能性の芽を摘んでいるのではないかと考えるのは、生きづらさを抱える人たちの支援に取り組む引地達也さんです。今回のメルマガ『ジャーナリスティックなやさしい未来』では、コミュニケーションツールの発達によって、少し前では考えられないほど障がいをもつ人たちの「進路」は広がっていると指摘。その機会や可能性を生かすためにも、自身が運営に関わる「みんなの大学校」のような継続した学びの場の認知度をあげる必要があると綴っています。

重度障がいの「進路」を考える柔軟性から可能性を思考する

特別支援学校高等部では3年生になると卒業後の「進路」を考え、進路指導や担当の教員とともに実習先を探し、実習し、「次の場所」を選び、進路を決定しなければならない。

一般就労が難しい場合は就労移行支援という福祉サービスを使って一定の期間、就労の準備を行う場合もあるし、一般就労まで時間をかけてゆっくりやりたい、または一般就労を目指さなくても、目の前の仕事をこつこつすることで日々の生活を安定させたいのであれば就労継続支援B型事業所等の選択肢もある。

そして「就労」よりも日々の生きがいを感じながら過ごすには生活介護事業となるし、外出が困難な重度障がいの方には自宅への訪問での支援になるが、どうしてもつながる社会が狭くなってしまいがちだから、活動の幅は広がらない。結果的に「出来ない」ことを出来るようにする可能性をそれらの支援の制度が奪っている面もある。

この進路に「学び」や「働き」を入れることで制限を超えていこうとみんなの大学校では一昨年から進路の選択肢になるべく取り組んでいるが、まだまだ浸透はしていない。

個別に関係のある特別支援学校や訪問学級のある学校に関しては、私たちの活動が少しずつ知られているようで、自宅でどのように学びが継続できるのかを話し合っていく回数も増えてきた。対象者が関東近郊であれば私が直接、学校や自宅にうかがって生徒と直接話し、現在のコミュニケーションツールを確認し、高等部卒業後に可能な学びの形を考えていく。

その時には周辺の理解や支援が必要となる場合もあり、これら周辺や各地域のリソースをどのように活用するかが課題である。「学び」により生活を充実させ、オンラインでの同級生を増やすことは、当事者の目指せる未来が広がるはずで、周辺も支援をすることで新しい発見になることは間違いないと思う。

しかし前例が少ないだけに、社会での反応は様々。特に特別支援学校の高等部という「教育」行政の中にいた生徒が、卒業後に社会人として地域と関わることは、支援の枠組みの中で社会保障費中の福祉のサービスで語られるようになるのは避けられない。

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