グーグル日本元社長が苦言。ChatGPTを触らぬノリの悪い日本の経営者たち

 

進化を続ける技術革新とどう向き合うのが正解か

その頃から、急速な進化が想定されるAIに関して、肯定論、否定論、慎重論とさまざまな議論が噴出するようになりました。イーロン・マスク氏や亡くなったスティーヴン・ホーキング博士などは「人類を滅ぼす可能性のある技術」とまで発言して警鐘を鳴らすほどで、悪用を避けるためのAI倫理規定などが、各所で検討されるようになりました。ちなみに、前述のサム・アルトマン氏も「AIが人類を滅亡させる可能性は否定できない」と述べています。何だか映画の『ターミネーター』を思い出しますね。

ChatGPTを始めとした各種生成AIは、このような一連のAI開発の歴史の延長線上に登場したものです。そして確実に言えることは、ここまで進化したAIは今後も後戻りすることなく進化を続けていくということです。イタリアなど一部の国や、行政機関、学校などで利用を禁止したり制限したりする動きもありますが、禁止や制限をしたところで進化が止まることはありません。とくにインターネットが普及して、世界中の人たちとの情報やデータの共有が瞬時に可能となってからは、技術革新のスピードが格段に速くなりました。今後、短期間にさまざまな局面を乗り越えながらAIは急速に発展して、瞬く間に我々の日常で当たり前の存在となっていくのは自明の理です。

このように、どんどん進化する技術革新に対して、我々はどう向き合うのが正解なのでしょうか?いろいろな意見があるでしょうが、私としては、自由にアクセスできるものであれば、何はともあれまずは自分で触ってみる、使ってみる、ということを強くお勧めします。ChatGPTについても同様です。技術革新に対して無関心でいたり、いたずらに恐れたりするのではなく、とりあえず使ってみる、という好奇心やノリの良さはとても大切です。良いところも悪いところも、実際に使ってみないことにはわかりません。

グーグル翻訳やDeepLをほとんど使わなくなった理由

ちなみに私自身は「息をするようにウソをつく」と悪口を言われるほど誤回答が多く含まれることも理解した上で、調べ物をするときやプレゼン資料の構成を考えるとき、ECで海外に販売する商材を検討するときなどに、いろいろと注意しながらChatGPTを試しています。今のところ一番重宝しているのは、英語の文章を作るときです。これまでは補助的にグーグル翻訳やDeepLを使っていましたが、今ではproofreadingや翻訳をChatGPTにお願いするようにしています。文法的には間違っていない英文でも、よりネイティブな表現に修正してもらうなど、非常に重宝しており、グーグル翻訳やDeepLはほとんど使わなくなってしまいました。

一方で、経営者の集まりなどに呼ばれて講演するような機会に、聴衆の皆さんに手を挙げてもらうと、この4月末のタイミングでもまだChatGPTを実際に使ったことがない、とする人がほとんどです。私は、ここにもデジタル後進国などと言われるようになってしまった日本の埋没の原因があるように感じます。仮に同じ質問をアメリカの経営者たちにすれば、おそらくほぼ全員がとっくに使ってみている、と反応するでしょう。

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