「好奇心が弱くノリが悪い」日本の経営者たち
ChatGPTには、簡単な手続きでサインインすれば誰でも無料で使えるFree planが用意されています。本来、経営者であれば、その存在を知った瞬間にどんなものなのか興味津々、使ってみずにはおれない、そしてそれがどんな新たな事業創出につながるのか、現業を改善するのにどう役立つのか、さかんに妄想を膨らませたり、周囲と意見交換してみたり、というのがあるべき姿なのではないでしょうか。もちろん、日本にもそのような経営者はたくさんいると思いますが、しかし、上記の通り、一般的には日本の経営者の皆さんはかなり奥手といえるようです。先ほどの言葉を繰り返せば「好奇心が弱くノリが悪い」ということです。
どんな技術革新にも、必ず正負両面があります。AIにも人類の幸福に大いに寄与する正の側面もあれば、戦争や犯罪に悪用されたり、既存の雇用を消滅させていったりという負の側面もあります。サイバー犯罪の専門家によれば、既に闇サイトなどでは、ChatGPTの悪用ノウハウがさまざま出回っているとも聞きます。能天気に諸手を挙げて歓迎できるわけではありません。しかし、正の側面を思いきり引き出して活用し、負の側面は極力抑え込む、というのがまさに人類の英知です。それを踏まえ、少なくともビジネスの世界に身を置く人たちは、負の側面に関する議論や必要な対策については、法律家や政治家、学者などに任せて、このChatGPTをはじめとした生成AIの可能性がもたらす明るい未来を想定した、ノリの良い発想や行動を心掛けて欲しいものです。
* シンギュラリティ(Singularity)は特異点という意味で、AIが人類の知能を超える技術的特異点のこと。または、それにより人類の生活が激変するという概念のこと。米国の学者であるレイ・カーツワイル氏が提唱した未来予測で、同氏は2045年にシンギュラリティに到達すると予測している。
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