気づかぬ消費者、ほくそ笑むメーカー。激安原価で作られた化粧品を「超高額」で売りつける業界の深い闇

 

化粧品メーカー社員に箝口令が敷かれている激安の原価

では、「業界マル秘」の化粧品の製造原価はどれほどのものなのでしょうか。

スキンケア用の基礎化粧品は、中身の大半がただの水と油です。

水と油を混ぜ合わせるための合成界面活性剤が入り、色素と香料、防腐剤に、ヒアルロン酸などの特殊成分をちょっぴり入れているだけです(一般化粧品の広告宣伝での「ヒアルロン酸表示」は認められていない)。

原材料費は概ね、化粧水が1~2円、乳液が2~3円、クリームが10~30円程度です。

ではメイクアップ化粧品はどうでしょうか。

メイクアップ化粧品では、口紅が5~10円、ファンデーションが15~25円程度、アイライナーやマスからなども15~30円程度です。驚くほどの激安原価で製造されています。

もちろん、量産すればするほど、さらに原価は下がります。

こんな製品を、5,000円とか、1万円以上で買ってしまっているのが、共同幻想を抱かされた消費者ということになるのです。

たとえば、特殊成分のヒアルロン酸は、1cc50円程度で6Lもの保水効果がり、0.1ccを加えてもたったの5円です。(悪徳美容整形外科では1cc5万円と謳って患者の肌に注射する)。

「えっ、まさか!そんなに安いのか!」と驚かれるかもしれませんが、これらはすべて本当のことなのです。

このことは、化粧品会社の一般社員ですら、自社商品の原価がそこまで安い──などとは知らされていません。

しかし、化粧品会社の製造工程職や研究職、経理部などにいる社員たちにとっては、「化粧品の原材料=激安」というのは、当たり前中の常識なのです。緘口令が敷かれているだけです。

品質に大差無い100円ショップと化粧品メーカーの美肌クリーム

読者の皆さんも想像してみてください。

100円ショップに行けば、さまざまな上質の美肌クリームが税抜き百円で売られているでしょう。

医薬部外品の薬用クリームや保湿クリーム、アロエクリームなど、着色料や添加物不使用などの特色を謳った保湿クリームなどもガンガン売られているのです。

100円ショップの商品とドラッグストアで2000~3,000円で売られている商品にどれほどの違いがあるとお思いでしょうか。

水と油を混ぜ合わせただけの商品が、片や税抜き100円で、片や数千円単位という価格差を示していること自体が、驚くべきことでしょう。

これは、日常接する化粧品類は、大体2,000~3,000円はする──という価格の刷り込み現象による「共同幻想」にすぎないのです。

これを「アンカーリング効果」といいます。

船のアンカー(錨=いかり)が、船の位置を固定するように、「化粧品類は2,000~3,000円が常識」という固定的な思い込みにすぎないのです。

ゆえに、100円ショップの保湿クリームを見て、「なんでこんなに安いの!」と驚き、勝手に品質が劣っている──とさえ思ってしまうのです。品質に大差はないのにです。

そのうえ、万円単位の高額の化粧品に対して、勝手に「ものすごく高品質な成分が入っている」などと思い込むのも、アンカーリング効果による 「共同幻想」なのです。

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