気づかぬ消費者、ほくそ笑むメーカー。激安原価で作られた化粧品を「超高額」で売りつける業界の深い闇

 

中身の原材料よりも容器や箱代のほうが高いという事実

実は、笑える話ですが、化粧品は原材料よりも、容器代や外装パッケージの箱代のほうが高いのです。

お洒落な容器に高級感のある外装パッケージが数十円したりするからです。

そうしたタダみたいな商品が、数千円や数万円で売れるとなると、オイシイ業界と思われます。

ゆえに他業界から参入する企業が、この業界では目白押しとなっているのです。

もちろん、健康サプリメントなども「原料=激安」なので、同様の状況にあるでしょう。化粧品会社の多くはサプリメントも手掛けています。

業界は化粧品メーカーを名乗っていてもファブレス化(工場をもたずに外部専門メーカーに発注して製造してもらう仕組み)がすすんでいるので、OEM(発注元のブランド名義で製造する)だらけです。

一定のロットが定期的に捌ける販路さえあれば、業界への参入障壁も低くなるゆえんなのです。

ただし、どれほど粗利益率が高くても、一定レベル以上の売上を作るには、宣伝広告費や人件費、流通コストや販管費が甚大です。

コストを過大に注がないと、この業界の激烈な生き残り競争には勝てないからです。

原価は激安でも生き残り競争は過酷な化粧品業界

大手5社で80%のシェアを占めているのが化粧品業界!

業界規模は、2021年で2兆8,000億円ほどと推計されていますが、資生堂、花王、コーセー、ポーラ・オルビス、DHCの大手5社だけで、8割強のシェアを占めています。

残り2割弱の市場を中小、零細の百数十社が分け合って競合しているのが化粧品業界の構図なのです。

業態としては、美容部員によるカウンセリング販売を行うのが得意な制度品メーカー、卸経由で小売りに流す一般品メーカー、通販専業のメーカー、訪問販売のメーカー、百円ショップ向けの百均専業メーカーなどに分かれています。

どんなに原価激安でも、生き残りの競争にしのぎを削らねばならない、非常に過酷な業界でもあるわけです。

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