プーチン激怒。クレムリン無人ドローン攻撃を仕掛けた“実行犯”の正体

 

プーチンが見せつけるお馴染みかつお得意の演出

それもあえて自身が大事にする5月9日の対独戦勝記念日パレード直前という危険な橋を渡ってでも「やっぱりウクライナはアメリカと欧州にたぶらかされた反ロシア勢力であり、今、叩き潰すことこそがロシア国家および国民の生活の安全と安心のために必要」というロジックを作り上げようとしているというシナリオは、まだ疑問が残るものの、大いにあり得る気もしています。

憶測の域は出ませんが、何しろ無名のKGBの大佐から一気にエリツィン大統領の後任に躍り出た策士でもあり、元KGB、そしてFSB内にたくさんの“駒”を持つというのも、プーチン大統領の絶対的な権力の源とも言われていますので、プーチン大統領の命令なしには誰も動きませんが、プーチン大統領の命令の微かな証拠もすべて消したうえで、今回の作戦が実施され、その後始末を見事にやってのけるプーチン大統領という、お馴染みかつお得意の演出の一部を見せられているようにも感じています。

そして何よりも午前2時に起きた事態であり、2機のドローンが実際にはクレムリンに被害を与えていないことが、いろいろな憶測を呼んでしまうと思いますが、いかがでしょうか?

プーチンへの反撃の機会を虎視眈々と窺っている勢力

そして3つ目のシナリオが【ロシア国内の反プーチン勢力による犯行】という可能性です。

この場合“反プーチン勢力”には大きく分けて2パターンあります。

一つ目が“ロシア国内の反プーチン勢力”、言い換えると野党的な位置づけの勢力です。

これはプーチン大統領が絶対的な権力を築き上げる過程で邪魔になり、虐げられた勢力と言えますが、“幸運なことに”まだ生きている元オリガルヒまたは親エリツィン派の人たちの集まりという特徴を持ちます。

プーチン大統領とその仲間たちに屈した勢力でありますが、まだ影響力を完全には削がれておらず、反撃の機会を窺っている勢力でもあります。

気になるのは、ピュアに反プーチンのロシア人ではなく、確実に背後にアメリカまたは英国の支援が入っている勢力でもあると思われることです。

これまで親プーチン派の権力者の娘の爆死事件やインフラの破壊行為などを主導し、“犯行声明を必ず出す”のがこの勢力の特徴です。

しかし、これまでのところ、どのグループからも“犯行声明”は出されておらず、“国内の反プーチン勢力”による単独の仕業という線は薄いように思われます。

ロシア国内に潜む「モグラ」の正体

もう一つの“反プーチン勢力”とはどのような性格なのでしょうか。

それはウクライナの工作員とも言われる勢力で、長くロシア国内に潜み、特殊任務を担っているとされる勢力です。

このグループの特徴は、ロシア国内の戦略的な基地やインフラへの攻撃を時折行い、混乱を引き起こしていることですが、表面的にはゼレンスキー大統領や政権との直接的な関係はなく、また指令も受けていないだろうという点です。

目的はプーチン大統領と政権の力の源になっていると思われているものを攻撃して力を削ぐことと、国内にモグラが潜んでいることをあえて知らしめ、プーチン大統領とその周辺の猜疑心を煽ることと言われています。

確信はありませんが、もしこのグループによる関与があり、かつクレムリン内にモグラが潜んでいたと仮定した場合、今回の攻撃の謎が解けるカギになるかもしれません。

それは普通ならばかい潜ることが非常に困難とされるクレムリンと赤の広場周辺の防空システムが、ドローン接近前に何者かによって解除され、攻撃ドローンの侵入を許したというシナリオです。

もしこのシナリオが成り立つのだとしたら、不可解なのは「どうして2機のドローンがクレムリンを実際には攻撃せずに、すれすれのところで爆発するにとどまったのか」ということですが、これ以上はあえて詮索しないことにします。

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