「ドローンは露の自作自演」という無理筋。誰がクレムリンを無人機で攻撃したのか?

 

それと、ウ軍は、後方の石油タンクや兵站を狙った無人機やパルチザンでの攻撃を活発化させている。

4月29日、クリミア半島のセバストポリのコザチャ湾にある燃料貯蔵施設でドローン攻撃より火災が発生。このため、ロ軍は、ウ軍の攻撃を避けるため、黒海艦隊の艦艇のほとんどをクリミアのセバストポリから、ノボシビルスクに移動した。

1日、ウクライナと接するブリャンスク州で石油製品などを運んでいた貨物列車が脱線炎上した。ロ軍は、ロシア連邦の広大で脆弱な鉄道網を攻撃から完全に守ることができない。特にロシア国内のパルチザンは厄介だ。

2日、パルチザンがザポリージャ州内務省副局長の自宅を爆弾攻撃。副局長は重傷を負ったという。

3日には、クリミア大橋に近いクラスノダール地方ヴォルナの燃料タンクが炎上した。

4日、ブリャンスク地方の飛行場へのドローン攻撃で、ロ軍の大型輸送機アントノフ124が1機完全に破壊され、別の航空機が胴体に破片を受けた。ロストフのノヴォシャフチンスキー製油所に別のドローンが墜落した。スタブロポリの潤滑油の倉庫と石油貯蔵施設で爆発炎上したが、パルチザンのようである。

5日、ロシアのクラスノダール西部イリスキーの石油精製施設で無人機攻撃による火災が起きたが、同じ石油精製施設には4日も無人機3機による攻撃があり、爆発と火災が起きていた。

6日、クリミアのジャンコイ地区のどこかで爆発が発生。ロシアのスヴェルドロフスク地方のペルボメイスキー村の森林火災がロ軍弾薬庫に到達。

この他でも、5日には、クルスク州やマリウポリでも爆発炎上が起きているが、詳細は不明である。もう、この手の爆発炎上は数が多いので、情報を追うことも難しい状況である。

このため、クリミア橋がテロの可能性があるため、閉鎖されているようだ。

ロ軍は、防空兵器のほとんどを前線に配備したことで、後方の防空能力が不足していることがわかる。

しかし、米軍のミリー統合参謀本部議長は「ウクライナは反攻準備が出来ている」としたが、同時に「この戦いをNATOとロシアの衝突に拡大させることだけは絶対に避けるべきで、ロシアと中国が接近しないよう手を尽くす」と述べた。また、当初から言われている通り「交渉立場を強化する範囲の軍事的勝利」を収めて話し合いによる戦争終結を目指しているのだろうとした。ウ軍の兵器・装備ではロ軍を敗北させられないということである。

それと、「西側諸国の軍事支援は無限ではない」という事実と、ゼレンスキー大統領が3月に「まだ戦争は終わっていない」と訴えなければならないほど、国民間で温度差が広がっており、今年の戦いで軍事的勝利をどこまで積み上げられるかが「来年の支援」と「国民の支持」に直結するだろうとした。

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