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中国の動き

中国国家統計局が4月30日に発表した4月の製造業PMIも49.2と3月の51.9から予想以上に低下していた。欧米への輸出が徐々に難しくなっているし、先端半導体の輸入もできずに、先端品の製造もできないことになっている。

このため、中国の習近平国家主席が委員長を務める「中央金融経済委員会」が5日開催され、米国との関係が緊張している中で「戦略的主導権」を握るための国際競争で時代に合った産業構造を構築し、技術的なブレークスルーを達成することを目指すとの方針を示した。

対して、米議会上院の与党民主党は3日、覇権争いが激化する中国に対抗するための包括的な法案を発表した。輸出管理や制裁強化による先端技術の流出防止や、重要な技術分野への対中投資抑制、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に代わる米主導のインフラ事業への資金提供などを盛り込んだ。

米中対決が一段と進行して、中国は、スパイ行為と見なされる活動リストを拡大した「反スパイ法」改正案が可決した。米国との戦略的な闘いの中で、習近平国家主席は国家安全保障上の懸念を最優先した。

しかし、中国外務省は4日、NATOが日本に事務所を開設するとの報道を受け、NATOの「東方拡大」に「高度の警戒」が必要との見解を示した。欧州との関係を正常化して、輸出市場を確保したいが、そうもできないようである。

輪をかけて、イタリア政府高官は来年初めに期限を迎える中国との「一帯一路」構想を巡る協定について、更新する可能性は非常に低いとの認識を示した。欧州の中国の要であるイタリアの反中行動に危機感があるようである。

この状況で、中印を含む主要国連加盟国は4月26日、「ロシアがウクライナ戦争の侵略者である」と認定する決議を採択した。中国がロシアを侵略者と認めた最初の決議になる。中国がロシアを見限る可能性が出てきた。

中国の経済には欧州が絶対に必要であり、その欧州への輸出ができなくなることを中国も警戒している。

しかし、カナダのジョリー外相は4日、在カナダ中国大使館の外交官が野党保守党議員の香港に住む親族への脅迫を企てたとして、この外交官の追放を検討していると明らかにした。中国への圧力を増していることになる。

米国防総省は3日、米国とフィリピンが中国の脅威に対処するため軍事情報の即時共有を目指すとした。中国とフィリピンなどが領有権を争う南シナ海での有事を念頭に両国軍がそれぞれ担う役割や任務を明確にして即応力を高める。

このような状況で、主要企業の7割超が、民主主義と権威主義に経済圏が分断される「ブロック化」を懸念しているようである。利益の多くを中国市場で稼いでいる企業が多く、その利益がなくなることを心配している。

さあどうなりますか?

(『国際戦略コラム有料版』2023年5月8日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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