それから一つ付け加えますと、G7のことがありますね。G7についての評価というのはまあいろいろあると思うんですが昨日東京新聞の方と話す機会があって。東京新聞の方はまあ押し並べて大変否定的でした。その内容はよくわかります。私も同感するところがあるんですけれども、ただ今回に関しては、ロシアによる核使用をなんとか止めなければいけないという課題に対して、まあ岸田政権はG7の議長国として広島で開催したこと、それからまあいろいろ批判はあるにしても、首脳たちの雁首を揃えてですね、原爆資料館を見せたということ。あの焼けただれた三輪車の姿をおそらく見たんでしょう。それはイギリスのスナクさんだったか、割といろいろ話ししてくれる方みたいで、資料館でどういうことがあったか、どういうものを見たかということについてスナクさんはどうも取材に応じてくれるらしくて、そういう話がありました。
このことについては絶対に動かない事実が一つ。世界でただ一つ、ただ一国が、罪もない老若男女の頭の上で核爆発を起こさせた。ロシアや中国にはいろんな批判がありますけれども、核問題では北朝鮮にしてもありますが、でもそれを実際にやったのはアメリカだけなんですよね。そのアメリカの大統領とそのアメリカとの間で同盟を組んでいるNATO諸国とあとアメリカもその中にいるわけですけど、極めて非人道的な行動に関してね、その証拠物件をですよ、全員並んで見たわけでしょ。
このことの持っている意味っていうのは小さくないと思うので、私はその成果に関してはむしろ評価するという傾きで議論したいというふうに思っていましたし、そうしました。まあ無理やり「実は同じだ」って言う必要もないんですけれど。普通に、期待してたわけじゃないでしょ、変な話、岸田さんがね。そこで例えば核禁条約に参加する意思を表明するなんてことが、この状況では無いでしょう。そんな中で、何か褒めてやることがあるとすれば、それくらいだろうという気持ちもまあ私にはあったんですけれども。というかそういう格好ででも、逆に言うと少々議論ができたので非常に良かったなというふうに思っています。
問題は仮に良かった点があったという風に褒めたとしても、問題はその先であって、とりあえず岸田政権ができることとして、これは絶対にクリアしてほしいなと私は思っているんですけど、少なくとも次の核禁条約締約国会議の際にドイツと並んで、いや、並ぶかどうかわかりませんけどね、ドイツが行ったようにオブザーバーとして参加すべき。そういう道筋にたどるための一つの条件を、今回満たしたとはまだ言えないかもしれませんけど、そういう条件に近づいたんじゃないかというふうに思っております。まあ私がこう言うことに関してはおそらくいろいろと批判もあるだろうと思いますので、どうぞ遠慮なくなさってください。
(『uttiiジャーナル』2023年5月28日号より一部抜粋。全てお読みになりたい方はご登録ください)
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