認知症の親が亡くなるまで続く。家族が味わう地獄の苦しみ
こうした法定後見人は、家族の意向をほぼ無視します。
本人を温泉旅行に連れ出したいとか、快適な施設に本人を収容させてあげたい、または家にエレベーターを設置してリフォームや増築を行いたい──などと家族が希望しても、法定後見人からは「必要性が乏しい」「本人の認知症回復に寄与しない」などとして、ごくふつうに本人保有財産からの支出を却下されてしまうからです。
これは、本人のことなど考えず、法定後見人自身の利益を考えているからに他なりません。
どんなに家族が食い下がり、本人の財産からの支出を懇願しても却下されるのです。こんな残酷な話があるでしょうか。
法定後見人は面倒くさい手続きをとることや、管理する「現金資産」が減ることを極度に嫌がります。
そして法定後見人の権限が強力かつ、独善的ゆえに、家族の誰も逆らうことは出来なくなるのです。
それでいて法定後見人は、状況把握のための本人面会にもまるで来ません。
そして、本人の「現金資産額」が、今どれだけあるのかについても、家族にさえ開示してくれないのです。
開示すると、家族が「ああしたい」「こうしたい」という要望を法定後見人に突きつけてくるため、「うるさくてしょうがない」状況になるためだそうです。ふざけた言い訳なのです。
「たとえ家族であろうと、法定後見人が管理する現金資産を開示する義務はない」として突っぱねられるのです。もう無茶苦茶でしょう。
法定後見人は、ロクに何もしない「名ばかり後見」のくせに、こうした横柄千万な態度を常態化させていきます。
そして、誰のための、何のための後見人なのか、まったく意味不明になっているのが、「成年後見制度」の今日の実態なのです。
この記事の著者・神樹兵輔さんのメルマガ