プライバシー侵害の「国民監視制度」を導入する政権の究極の目的
この制度は、かつて何度も、今よりはるかにまともだった野党の反対に遭ってとん挫してきた「国民総背番号制度」の導入に他なりませんでした。
ところが、2012年に民主党政権が提出した法案(解散で廃案)をベースに安倍政権が成立させたものだったのです。
「マイナンバー」などと親しみやすい名称ですが、「国民総背番号制度」であり、プライバシー侵害の「国民監視制度」のスタートに他ならない、天下の悪法です。
当時の安倍政権は、他の先進国でも共通番号制度が導入されているかのような印象操作を行いましたが、すべてがとんだまやかしでした。
マスメディアも、安倍政権に忖度して、この時でさえ諸外国の実情をきちんと紹介しませんでした。
それゆえ安倍首相のご都合主義の印象操作がまかり通ったのでした。諸外国でも1枚のカードへの国民情報の多重紐付けなど行っていません。
- 米国では、税と社会保障のみに限定の上での選択制です。それでも情報漏洩や成りすまし犯罪を急増させました
- イギリスは、06年に任意加入でIDカード制を始めましたが、政権交代でプライバシー侵害の悪法として廃止されました
- ドイツやイタリアは税務識別のみの共通番号です
日本のように預金とリンクさせたり、これから様々な分野での「多重紐付け」を増やす狙いが透けて見えるのは、日本のマイナンバーカード制度だけなのです。
すでに閣議決定によって、18年1月からは預金口座や証券口座の開設にあたっては、マイナンバーの提示を求めるように仕向けています。
おそらく、預金口座も証券口座も、そのうちすべてが「マイナンバーカード提示」での手続きになるはずです。そして第一に国民の金融資産のすべての掌握にかかってくることが予想されます。
小さく導入して、大きく膨らます──これは歴代自民党政権の悪法を成立させるときの常套手段となっています。
国民に反対されそうな法律は、とにかく小さく生んで大きく育てる──のが伝統手法なのです。
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