「中国有事」で台湾・韓国とともに最前線に立たされる日本
このような日米欧が重視するインド太平洋地域においても、次第にパワーバランスおよび感情のバランスが変化してきていることに注意しなくてはならないでしょう。
今週、参加を依頼されたある会合で中国やインド、インドネシアの方たちに「日本はアジアに位置するが、心はどこにあるのか。それをはっきりとするときがもう来ている」と指摘されました。
これまでの外交方針では「日米同盟を基軸に」を柱に行動していますが、このところ、特にG7べったりの姿勢が鮮明になってきており、それがアジア諸国の懸念を生んでいることに気づいているでしょうか?
防衛装備品の輸出にかかる法律も改正され、NATOとの急速な接近も鮮明になる中、刻一刻と変わる国際情勢のパワーバランス、特に日本が位置する北東アジアとインド太平洋地域における中国の影響力の拡大に際し、立ち位置を明確にするか、それとも、あえてどっちつかずの姿勢を取るか。
早急に立ち位置を決める必要が出てきているように感じています。
ロシアとウクライナの戦争はしばらく続き、残念ながら国際社会も国際経済もその膠着化に引きずられることになります。その間に広域アジアと日本がまだ影響力を持つアフリカなどで刻一刻と勢力図が変わっていくことになります。
個人的には中国による台湾侵攻はないと見ていますが、仮に“中国有事”が勃発した際、今回のウクライナ戦争を見ても明らかなように、唯一の同盟国アメリカが戦ってくれるかは分かりません。
もしかしたら、今回のように、武器弾薬を供給し、戦争と紛争から利潤を拡大する戦争ビジネスのターゲットになるだけで、実際の有事への対応、特に最前線での対応は日本や台湾、韓国をはじめとする最前線の国々に委ねられてしまうような事態に陥るかもしれません。
アメリカの来ないアジアでの戦争が勃発してしまった場合、恐らく日本や韓国、台湾は最前線に置かれ、場合によっては中国と“ウクライナ戦争を生き残った”ロシアによる草刈り場になってしまう恐れもあります。
私の思い過ごしであってほしいと願いますが、私たちの目がロシアとウクライナの戦争に向いている“その”間に、身近な危機がじわりじわりと近寄ってきているかもしれません。
以上、国際情勢の裏側でした。
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