元お天気お姉さんが伝授。真夏前から始めるべき「汗をかく練習」

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昨年夏に猛烈な熱波に襲われ、多くの人が命を落とした欧州。しかしもはやこのような気象状態は、「異常」ではなくなってしまったようです。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では、健康社会学者で気象予報士として「ニュースステーション」でお天気お姉さんも務められた河合薫さんが、「欧州において酷暑が日常化した」とする公的機関の報告を紹介。さらにその状況は日本も例外ではないとした上で、熱中症予防のためこの時期から始めるべき「汗をかく練習」の具体的な方法をレクチャーしています。

プロフィール河合薫かわいかおる
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

異常が普通になる日。世界は、深刻な酷暑が日常化するフェーズに突入した

今回は“元日本一のお天気ねーさん”として、夏の暑さについて取り上げます。

19日、世界気象機関(WMO)とEUの科学者チームが報告書を公表し、2023年の欧州の夏がこれまでで最も暑く、今後も同じ、あるいはそれ以上の酷暑が頻発する恐れがあると警告しました。

つまり、昨年の記録的な暑さはもはや異常気象ではなく、深刻な暑さが日常化するフェーズに突入したと断定したのです。

欧州は地球の大陸で最も急速に温暖化が進行していて、1980年代以降の気温上昇ペースは世界平均の約2倍に達していることがわかりました。また、昨年は地中海やバルト海、黒海の一部で深刻かつ極端な海洋熱波が発生。アルプス氷河の融解も過去最大規模に達しました。

さらに、今年はエルニーニョ現象が発生しているため、極端な天候になる可能性もあると指摘。とにもかくにも「酷暑に備えろ!CO2削減を徹底しろ!」と警鐘を鳴らしたのです。

先日はロシア極東のシベリア各地で史上最高気温の記録が更新され、バエボでは39.6度を記録するなど、「史上最悪の熱波」に見舞われました。

日本も例外ではありません。気象庁が20日に発表した3ヶ月予報によると、西日本や東日本では気温が高くなり危険な暑さが予想されています。

夏の猛暑をもたらす太平洋高気圧が例年以上に日本の南へ張り出すため、特に西日本や沖縄、奄美は50%以上の高確率で猛暑が予測されています。西日本や東日本では降水量も多くなるとみられ、雨による災害にも警戒が必要と呼びかけました。

おそらくお天気に詳しい方は「え?なんで猛暑?エルニーニョ現象が起きたときって冷夏なのでは?」と思われるかもしれません。

確かに、今年はエルニーニョ現象が発生していますし、一般的にエルニーニョになると冷夏になる確率は高まります。ところが今年はインド洋で「ダイポールモード現象」が発生しているのです。

ダイポールモード現象とは、東インド洋熱帯域の海面水温が平年よりも低くなり、西インド洋熱帯域の海面水温が平年よりも暖かくなる現象のこと。これは1999年に山形俊男教授(当時)が、94年夏の日本の猛暑の原因を探る過程で発見しました。

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