大阪にあるユニバーサル・スタジオ・ジャパン。いまや大人気となっているこの場所も、経営危機に瀕していた時期がありました。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、 そんなUSJをV字回復へと導いた森岡毅さんのインタビューを紹介しています。
「アイデアの神様に好かれる」秘訣
独自のマーケティング手法を武器に、経営危機に瀕していたUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)をV字回復へと導いた戦略家・マーケターの森岡毅さん。
数々の苦難を乗り越え、組織を再生させてきた森岡さんに、唯一無二のアイデアを生み出す秘訣を伺いました。
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森岡 「新しい企画がこの日までに思いつかなかったら会社が倒れる。そういう状況にいつも追い込まれていましたから、私はいつの間にか寝ても覚めてもアイデアを考えるようになっていました。
目を瞑るギリギリまで考えて目を開けた瞬間から考えていると、しまいには目を瞑っている間も考えるようになるんです。夢の中でうなされたことは何度もあります。ある時は、夜中に息苦しくて目を覚ましたら、口の中から出血していた。寝ている時に自分の舌を思いっ切り噛んでいたんです」
──それだけ追い詰められていた
森岡 「本当に必死の毎日でしたね。ただ、人間って不思議なもので、そうやって追い詰められて重圧がかかると、自分自身も意識していない遺伝子が目を覚まして、とんでもない能力が覚醒したり、アイデアの神様が降りてくることがあるんです」
──アイデアの神様が降りてくる
森岡 「2013年度を生き延びるアイデアを考えるため、来る日も来る日もパークをひたすら歩き回っていた時もそうでした。
ある夜、すごく鮮やかな夢を見たんです。それは昼間にパークで見た『ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド』というジェットコースターが逆再生されている映像でした。その瞬間、私はバッと跳ね起きて『これだっ!』と心の中で叫びながら、すぐさま枕元にあるノートに書き留めました。
こうして誕生したのが後ろ向きに走るジェットコースター『ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド~バックドロップ~』です。これならば大きな投資をせずに、既存のレールを使って開発ができ、なおかつ新たな話題を集めることができると。当初、社内の大反対はあったものの、技術陣の献身的な努力によって2013年春にオープンすることができました」
──結果はいかがでしたか
森岡 「連日長蛇の列をなし、3月21日には最大9時間40分待ちという日本におけるアトラクションの待ち時間記録を更新し、2013年度の来場者数1,000万人の大きな牽引役となったのです。
ある問題について、地球上で最も必死に考えている人のところにアイデアの神様は降りてくる。これは私の実感ですね」
※ 本記事は月刊『致知』2014年6月号 特集「長の一念」より一部を抜粋・編集したものです
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