3.AIは人間の鏡である
AIが人間の知能を追い越したら、人間を征服する、と考える人もいます。しかし、人間はそれほど賢いのでしょうか。人間は本当に高度な知能を持っているのでしょうか。
もし、人間の知能がまだまだ未熟であり、人間とは愚かな行為をするもの、と認識すれば、AIに対する考え方も変わるのではないでしょうか。人間の知能を追い越したところで、常識が判断できる程度かもしれません。常識人が世界制服などできるはずはないし、人類を滅ぼすはずもありません。
人類は常に、「自分は最高の存在である」、と自惚れています。そして、自分に力があれば、「他者を蹂躙し、支配したい」と思っている人も少なくありません。そういう愚かな人間は、AIに自分の愚かさを投影し、子供じみた世界制服の野望を想像するのでしょう。
人間が本当に賢ければ、自分の利益を確保することより、利益を広く配分することを優先するはずです。その方が社会は平和になるし、人間は暮らしやすくなります。もし、AIが人間より賢いなら、もっと効率的に社会貢献する方法を教えてくれるでしょう。人間の考え方が平和であれば、AIの進化は平和につながるのです。
編集後記「締めの都々逸」
「世界征服 夢みるガキが 人工知能に 怯えてる」
国内生産が中国生産に移行した時期、日本の製造業者は中国を恨みました。しかし、恨むべきは、日本に出していた仕事を中国に振った商社、流通企業、卸売企業等です。つまり、それまで日本メーカーに仕事を出していたお得意様です。お得意様に、中国に仕事を出さずに、日本のメーカーを優先してくれ、雇用を維持してくれ、と頼むべきなのです。しかし、そんなこはいえないですよね。だから中国メーカー憎しとなる。
これ、現在のAIに似ていますね。AIが仕事を奪うのではありません。あなたの会社の社長が、あなたを雇用することより、AIを使える人を雇用する方を選ぶのです。恨むなら、効率優先の社長です。AIも下請けなんですから。(坂口昌章)
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