クーデターで「プーチン暗殺」の可能性も。今ロシアに起こりうる4つのシナリオ

 

ブリンケンがこのタイミングで習近平に囁いた内容

あるいは、中国の場合は巨大な不動産の不良債権化に苦しむ中で、コロナ後の爆発的な成長力回復を実現して、不良債権処理を進めたいという意向を持っているのかもしれません。そう考えると、いつまでもプーチンによる原油高の継続という事態が続くのは困るはずです。

ですから、今回のロシア内部の動揺を絶好のタイミングとして、ウクライナ和平へと動いて欲しい、ブリンケンは習近平にそのように囁いた可能性はあると思います。この点に関しては、単純に考えると、バイデン政権としては、岸田政権と同じように「ウクライナ戦争が継続して、自分たちが自由と民主主義の正義の味方」という状態が続く中で、選挙をやりたい、つまり23年後半の日本の総選挙なり、24年11月の米大統領線の時点まで「戦争がくすぶっていたほうが有利」という判断をしている可能性はあります。

ですが、それはあくまでバイデン周辺だけの計算であって、もっと強力な民主党政権を期待している向き、つまりバイデン路線を一旦崩壊させて、もっと若い世代でもっと現実的な民主党政権を作りたいという思惑は、党内には静かに拡大しています。

例えば、カリフォルニアのニューサム知事を担ごうという思惑もまだありますし、最近バイデンの次男のスキャンダルが大きく報じられるのと並行して、ハリスのメディア露出が強化されているのも事実だと思います。そして、仮にハリスへの禅譲が起きた際には、ハリスはウクライナ戦争を継続しつつ選挙に臨むよりも、戦争を終結させて改めてトランプ周辺とロシアの癒着を断罪する方向を選びそうな気配もあります。

そんな中で、ブリンケンは自身の大局観の延長で、習近平と「ウクライナ和平戦略」を協議した可能性はあると思います。タイミングが全てを物語っています。6月のこの時期に、急遽ブリンケンが訪中したということは、この話題がなければ考えにくいからです。

一方で、米中の国防相同士の閣僚級会談については、中国は頑強に拒否しているようです。これは、表面的には米国が中国軍幹部に対して個人的な制裁を解除しないので、中国側はメンツの問題として不可能としています。ですが、この問題の背景には、中国軍の中枢がプーチンの調略を受けている可能性があり、アメリカとしては譲れないのかもしれません。ロシア=ウクライナ問題への中国の関与ということでは、あくまで「トップ外交による和平仲介」と、巨額な資金投下による「戦後復興への引きずり込み」という2点に絞っての話と見ておくのが良さそうです。

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