性的少数者への見せかけの「理解増進」を謳った差別法案
いったい何のために政治家になり、首相になったのか──もちろん一族保身と一族繁栄のみで彩られた世襲議員ゆえの原因と結果にすぎなかった──ということなのでしょう。
そして先月にはLGBTQ(性的少数者)への見せかけの「理解増進」を謳った差別法案を、またまた数の力での強行突破で成立させています。
ちなみに、LGBTQとは、Lesbian(レズビアン=女性同性愛者)、Gay(ゲイ=男性同性愛者)、Bisexual(バイセクシャル=両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー=心と体の性が異なる人)、Queer/Questioning(クィアまたはクエスチョニング=性的指向・性自認が定まらない人)の 頭文字をつなげた略語 です。いわゆる性的少数者(セクシュアルマイノリティ)を表わす総称となっているのです。
しかう世界の時流に逆行する自民党・保守派の偏見・差別思想!
「LGBT理解増進法案」が先月6月16日に国会で成立し、6月23日から施行されています。
この法律もまた、「原発推進法」「大軍拡・軍事費増大」「入管難民法改悪」などと同様に、自民・公明連立腐れ政権と結託して悪法を成立させ続けてきた日本維新の会、国民民主党といった「ゆ党(野党でも与党でもない御用政党)」による共闘の成果でした。
当初案の「差別は許されない」という文言は、「不当な差別はあってはならない」へと曖昧に後退させ、国会採決の直前には、さらに「全ての国民が安心して生活することができるよう留意する」という文言が追加されました。
これでは、「LGBTへの理解増進」どころか、「性的マイノリティが社会を脅かすかのような表現になった」といった批判が巻き起こるのも当然なのでした。
もともと岸田首相は、「性的マイノリティ」や「同性婚」について、肯定的ではありませんでした。
岸田首相は、今年2月の衆院予算委員会で「少なくとも同性カップルに公的な結婚を認めないことは、国による不当な差別であるとは考えていません」と述べており、後日の答弁でも「(同性婚を認めたら)社会が変わってしまう」などと大胆に発言しています。
さらに、首相発言をフォローするつもりか、荒井首相秘書官がオフレコ会見でLGBTについて「見るのも嫌」「隣に住んでるのも嫌」などと発言して大炎上を招き、秘書官を更迭されています。
しかし、同性婚については、「同性婚が認められないのは憲法違反」として同性カップルが訴え出ていた裁判で、札幌地裁は「違憲」、大阪地裁は「合憲」、東京地裁は「違憲状態」、名古屋地裁は「違憲」、福岡地裁は「違憲状態」という判断をすでに示しています。
「法の下の平等」という観点からは、もはや国が同性婚を認めないのは時代遅れで差別的扱い──という判断が主流になってきているのです。
また、すでに自治体や民間企業では、LGBTQ差別禁止がどんどん進んでいる状況です。
自民党が、内部に抱える「保守派」と称する偏向・差別勢力の意向を強くはたらかせて、いたずらにLGBTへの偏見や差別を温存しているにすぎません。
そのため、G7サミットを前に、議長国を務めることになった日本の岸田首相が、単なるアリバイ作りで大慌てとなって「LGBT理解増進法案」を提起したという──お粗末な背景が際立っただけなのでした。
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