中国の露骨な国際法違反に腹を立てる側は、南シナ海をめぐって神経戦を繰り広げなければならない国家だ。アセアンが力を合わせて対応しなければならないが、「チャイナマネー」の影響力が大きいために中国に反旗を翻すことも容易ではない。
ASEANは2018年、中国との領有権紛争拡大を防ぐため「南シナ海行動綱領(COC)」作業に乗り出したが、5年間一歩も踏み出せずにいる状態だ。フィリピン、ベトナム、インドネシア、ブルネイなど紛争当事国は領有権強化を主張した反面、中国の影響力が強いラオス、ミャンマーは生ぬるいためだ。セイヤー教授は「2016年PCAが結果を発表した時もフィリピンとベトナムだけが歓迎声明を発表したが、これは中国がラオス、ミャンマーなどを脅迫したため」と説明した。
南海九段線をめぐる中国とASEAN諸国の神経戦は、やはり当分続く見通しだ。セイヤー教授は、中国が今後もグレーゾーン戦略を通じてベトナムやフィリピンなどに持続的な脅威を与えると見た。グレーゾーン戦略は戦争を直接引き起こすことはないが、周辺国に危険を与える手段を活用することだ。
中国が軍事力を動員して露骨に攻撃しなくても、民間人を装った海洋警備隊などを通じてASEANをゆっくり圧迫できるという話だ。セイヤー教授は「ASEAN個別国家と中国の激突は少年ラグビーチームが成人プロチームと対抗して戦う格好」としながら「残念ながら直ちにASEANが効果的な対応に乗り出すことは難しそうだ」と話した。(韓国日報ベース)
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