大谷翔平VSトラウト対決の舞台裏を明かしたWBC侍ジャパン栗山監督「あの采配は…」

Oakland,,California,-,August,10,,2022:,Los,Angeles,Angels,Dh
 

今年3月、6年ぶりに開催されたWBCで、「ドラマ以上にドラマティック」な展開で優勝を飾った侍ジャパン。攻守に渡る大谷翔平選手の活躍が大きな話題となりましたが、栗山英樹監督は彼をどのように見ていたのでしょうか。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、監督が円覚寺管長の横田南嶺氏との対談で語ったWBCの舞台裏と、大谷選手が常に出しているという「雰囲気」を紹介しています

大谷翔平投手×トラウト選手・対決の舞台裏

今年3月に開催されたWBCで、3大会ぶり3度目となる世界一に輝いた侍ジャパン。

その快挙は日本中に歓喜の渦を巻き起こし、勇気と感動を与えてくれました。

チームを率いた名将・栗山英樹監督が予てお会いしたかったという横田南嶺氏と共に、悲願達成までの舞台裏を振り返りつつ、その最大の勝因、今大会を通して得た学び、さらにはいかなる出逢いによって自己を磨いてきたか、指導者としての哲学を縦横に語り合っていただきました。

野球と禅──異色の組み合わせながら、そこに通底する人間学談義に興味は尽きません。

本日はその一部をご紹介いたします。


横田 「決勝戦の最後がトラウト選手との直接対決。あの場面をご覧になっている時の監督は、これで抑えてくれると微塵も疑いがなかったわけですか?」

栗山 「監督の仕事っていうのは、最悪の状況でも負けないようにすることです。3対2と1点リードで迎えた9回表、翔平をマウンドに上げた時、野手も二人交代して守備固めに入りました。

『もし同点にされていたらどうしたんですか』って、後で周りからも言われたんですけど、僕があそこでほんの1ミリでも同点になるとか負ける可能性を頭に描くと、その通りになってしまうと思ったんですよ。翔平の覚悟も感じていたので、あの采配は絶対にこのイニングで終わらせるというメッセージでもありました」

横田 「両者ともメジャーリーグを代表する選手ですから、おそらく技術の差はほとんどないと思うんです。

でも、監督もお読みになっている『孟子』に、『浩然の気』という言葉が出てきますね。

これは大河が滔々と流れていくような、この上なく強く大きく真っ直ぐな気のこと。

大谷選手の浩然の気が相手バッターを圧倒していったんじゃないかと感じました。

それから、準決勝のメキシコ戦で9回裏に劇的な逆転勝利を呼んだのも、先頭で彼がヒットを打ち、ヘルメットを投げ捨てて全力疾走し、2塁まで到達してベンチに向かって叫びましたよね。

あれで気の流れが変わって、こちらに引き寄せたと思うんです」

栗山 「普通の選手はああいう追い込まれた状況に直面すると、プラスとマイナスのイメージがどちらも頭の中に浮かぶはずです。

ただ、翔平の場合、『もしダメだったら』というマイナス思考が浮かんでいるようには見えない。プラスになるんだって100%信じて行動する。

ちょっと無理かなと思うようなことを僕らが要求すると、彼はすごく嬉しそうな顔をしてやってくれます。

要するに、自分ができないと思われることにチャレンジすると、達成できてもできなくても自分のレベルが引き上がる、能力が高まるということを知っているんじゃないでしょうか」

横田 「決してマイナスには捉えないわけですね」

栗山 「はい。『ええ?』って否定的な態度を取ることは全くありません。『面白そうですね。行っちゃいますか!』みたいな雰囲気をいつも出しています」

image by: Conor P. Fitzgerald / Shutterstock.com

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【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

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