カリスマ稲盛和夫氏が当初から掲げた『社員の幸せファースト』『全員参加経営』の素晴らしさ

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京セラの創業者で、経営破綻したJAL再生の立役者でもあった稲盛和夫名誉会長(90)が2022年8月24日、京都市内の自宅で老衰のため死去しました。稲盛氏は1955年、鹿児島県立大学を卒業後、京都の碍子製造会社「松風工業」に就職。そこでファインセラミックスの将来性に気づき、1959年に「京都セラミック」を創業、一代で世界的な企業「京セラ」に成長させるなど、日本を代表するカリスマ経営者として知られています。稲盛氏の経営哲学は多くの経営者やサラリーマンに愛されましたが、稲盛氏の薫陶を受けてきた2人が実体験から掴んだ稲盛哲学の神髄、人生・仕事を発展させる極意について語り合った内容を、無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』よりご紹介します。

やる気を引き出す全員参加型経営

京セラやKDDIを一代で世界的企業に育て上げたのみならず、不可能といわれた日本航空(JAL)の再建を3年弱で成し遂げた稀代の名経営者、故・稲盛和夫氏。

それぞれ50年と30年、稲盛氏の薫陶を受けてきた石田昭夫さんと大田嘉仁さんが語り合う、実体験から掴んだ稲盛哲学の神髄、人生・仕事を発展させる極意とは──。

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石田 「大田さんは、稲盛さんから受けた教えの中でいまも特に大事にしていることはありますか」

大田 「ある時、稲盛さんが『尽くすから尽くされる』という言葉などを紙に書いて渡してくださったのですが、これは『利他の心』の実践をとても分かりやすく教えていると思います。

つまり、まず自分が尽くすからこそ、相手に尽くしてもらえるのであって、その逆はないということですね」

石田 「まず自分から尽くせと」

大田 「会社でも、なぜうちの社員は愛社精神がないんだ、困った時に協力してくれないんだと嘆いている経営者がいますが、それは日頃から社員に尽くしていない、社員を大事にしていないからですよ。

その意味では、米ギャラップ社の調査で、日本企業における『熱意溢れる社員』の割合はたったの5パーセントしかいないという結果が出ていることは大問題だと思います。これは調査した147か国中、最低の数字です」

石田 「本当に由々しき状況です。確かに最近の日本企業、日本人を見ていると、夢や希望があまり感じられませんし、自分の会社をよくしようという愛社精神が非常に希薄になっていると感じます」

大田 「日本の経営者がいかに社員を蔑ろにしてきたか、自分の地位や保身ばかりを考えてきたか、その結果が現れているのだと思います。

かつての日本的経営では、上司はいつも夢を語り、部下の面倒をよく見て、元気のない部下を飲みに連れて行ったり、自宅に呼んだり、家族の心配までしてくれていた。

そうすることで、帰属意識も愛社精神も、モチベーションも高まっていったのだと思います。

しかし、近年では、一方的な合理化や短期的な成果主義の導入、非正規社員の増加などによって、どんどん人間関係がドライになり、一体感が希薄になってきているように感じます。

稲盛さんは経営理念に『全従業員の物心両面の幸福を追求する』を掲げ、当初から『社員の幸せファースト』『全員参加経営』を追求していました。

トップダウンで会社を引っ張っていくイメージが強い稲盛さんですが、実際は『自分で考えるからいい仕事ができるんだ』と、社員の自主性を尊重し、社員が自分で真剣に考え、どうしてもやりたいという提案であればほぼ認めていました。それが、社員のモチベーションや達成感に繋がっていたんですね」

image by: Science History Institute, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons

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【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

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