被害は東日本大震災の10倍超。南海トラフ地震発生のカウントダウンが始まった

 

原発という日本にもっとも向いてない発電

その上、伊方原発から8キロほど沖の海底には、日本最大の活断層「中央構造線断層帯」が通ってる。南海トラフ地震が発生すれば、震源に最も近い伊方原発が直接的に大きなダメージを受けることが予想されるが、それだけでなく、マグニチュード8超の強震によって中央構造線断層帯が連鎖的に地滑りを起こす可能性も高い。そうなった場合、伊方原発の敷地内の地面が、5~10メートルほどの横滑りや陥没を起こすと言われてる。そしたら、原子炉や使用済み核燃料の冷却プールが倒壊するので、完全に終わりだ。事実、伊方原発には、過去に「中央構造線断層帯に近いので危険」という理由で、裁判所から「運転停止命令」が出てる。

…そんなわけで、日本列島の下には、北から南まで、確認されてるだけでも2000を超える活断層が縦横無尽に走ってる。そして、全国の原発はもれなく活断層に囲まれてる。福井県の敦賀原発のように、原発の真下を活断層が走ってるという最悪のパターンもある。中国電力と関西電力の使用済み核燃料の中間貯蔵施設の受け入れで揺れてる山口県上関町も、予定地の真下に巨大な活断層がある。これらの活断層は、南海トラフ地震のような巨大地震が起こった場合、連鎖的に数メートルの横ずれを起こし、周囲の建物などに大きな被害を与える可能性がある。

つまり、結論を言っちゃえば、日本に最も向いてない発電が原発ってことになる。そして、過去120年でマグニチュード6を超えた地震は今回が初めてという、モロッコのような国こそが原発に向いてるということになる。世界有数の地震大国である日本に原発を林立させるということは、セルフのガソリンスタンドで、くわえタバコで給油するような話だ。給油中、給油口からは気化したガソリンが立ち上り続けてるのに、そこで火のついたタバコをくわえていれば、いつ爆発してもおかしくない。サスガに、こんなに危険でバカなことをする人などいないと思うけど、これの何百万倍も大規模な「危険でバカなこと」をやってるのが、今の日本なのだ。

次に南海トラフ地震が発生すれば、それだけで日本は広範囲に渡って甚大な被害が出る。そして、さらに原発事故が起これば、被害は何十倍、何百倍にも拡大し、放射能汚染された大地や海が復興への道を閉ざすことになる。でも、原発事故を防ぐことができたら、たとえどれほど甚大な被害を受けたとしても、日本は必ず復興できる。これが、東日本大震災と福島第1原発事故から、あたしたちが学んだ一番大切なことじゃなかったのか?

先ほどの「歴代の南海トラフ地震」を見て、気づいた人もいると思うけど、最後に発生した昭和の2つの「南海トラフ地震」は1944年と1946年、敗戦の年の前後ということになる。つまり、1946年にマグニチュード8の南海トラフ地震が発生し、広範囲に渡って巨大津波が押し寄せた時、静岡しかり、名古屋しかり、大阪しかり、ほとんどの太平洋側の都市部は、前年に米軍の大空襲を受けて焼け野原になっていて、ようやく復興し始めたタイミングだったわけだ。

戦争による大空襲と巨大地震による津波、この壊滅的な打撃から日本が復興することができたのは、もちろん日本人の真面目さと勤勉さ、そして、元ジャイアンツの上原浩治投手のキャッチフレーズ、踏まれても踏まれても立ち上がる「雑草魂」があったからだと思う。でも、その後の日本を生きて来たあたしから見ると、日本が復興できた最大の理由は、「当事はまだ原発がなかったから」だと思ってる。

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