被害は東日本大震災の10倍超。南海トラフ地震発生のカウントダウンが始まった

 

過去には南海トラフ地震が短いスパンで連続して起きたケースも

…そんなわけで、あたしは、ブログにもこのメルマガにも書いたことがあるけど、日本列島は、北米プレート、ユーラシアプレート、太平洋プレート、フィリピン海プレートという4つのプレートが干渉し合う「プレート銀座」の上にある。日本列島自体は、東日本が北米プレート、西日本がユーラシアプレート、伊豆半島がフィリピン海プレートの上に乗ってる。で、日本列島の大部分が乗ってる陸のプレートである北米プレートとユーラシアプレートに対して、海のプレートである太平洋プレートとフィリピン海プレートが、1年に数センチずつ移動してグイグイと押しつつ、陸のプレートの下へと潜り込み続けてる。

でもそれは、『忘れていいの~愛の幕切れ~』をデュエットしつつ、背後から小川知子さんの胸元にスルリと手を入れる谷村新司さんのような滑らかな「潜り込み」じゃない。いくら動いてるとは言え、プレートは分厚くて巨大な岩盤だ。陸の巨大な岩盤に海の巨大な岩盤がぶつかって、ガチンコ勝負で力負けした海の岩盤のほうが、陸の岩盤の下へ強引に潜り込んで行くという壮大な地球の営みだ。

で、強引に潜り込んで行く海のプレートは、陸のプレートの境界部分も一緒に引っ張り込んで行く。フィリピン海プレートの移動は1年に3~7センチ、平均5センチ程度だけど、10年なら50センチ、100年なら5メートルというわけで、海のプレートに引きずり込まれた陸のプレートは、一定の年月を経ると限界点を迎える。そして、耐え切れなくなってビヨヨーンと戻った時に、大地震が起こる。これが「トラフ地震」だ。

「トラフ」とは、日本語で「舟状海盆(しゅうじょうかいぼん)」て言うんだけど、海底の細長い溝のこと。たとえば、「相模(さがみ)トラフ」は相模湾の沖から分岐するトラフで、フィリピン海プレートが北米プレートへ潜り込み続けてる。これが、関東大震災を発生させた。一方、同じフィリピン海プレートでも、西日本の乗ったユーラシアプレートに潜り込み続けてるのが「南海トラフ」だ。

「南海トラフ」は、静岡県の駿河湾から九州の日向灘(ひゅうがなだ)沖まで、水深約4000メートルの溝が約700キロに渡って続いてる巨大なトラフだ。これが、西日本の乗ってる陸のユーラシアプレートと、それに干渉し続けてる海のフィリピン海プレートとの境界になってる。そして、100年から150年くらいの間隔で、フィリピン海プレートに引きずり込まれたユーラシアプレートがビヨヨーンと戻り、そのたびに巨大な南海トラフ地震を発生させて来た。

歴代の南海トラフ地震

684年  白鳳地震(M8.25)
887年  仁和地震(M8.25)
1096年 永長地震(M8.0~8.5)
1099年 康和地震(M8.0~8.3)
1361年 正平東海地震、正平南海地震(M8.25~8.5)
1498年 明応東海地震(M8.2~8.4)
1605年 慶長地震(M7.9)
1707年 宝永地震(M8.6~9.3)
1854年 安政東海地震、安政南海地震(M8.4)
1944年 昭和東南海地震(M7.9)
1946年 昭和南海地震(M8.0)

1361年と1854年は2つの地震が並んでるけど、どちらも1つめの地震の同日か翌日に2つめが発生してる。また、1096年の永長地震の3年後に発生した康和地震、1944年の昭和東南海地震の2年後に発生した昭和南海地震など、短いスパンで連続してるケースもある。これらは、1つめの地震でユーラシアプレートすべてがビヨヨーンと戻り切らず、残った部分が2つめの地震を発生させたと見られてる。

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