交渉や営業を有利に進めるため、ついつい頼りたくなってしまうトークテクニック。しかしそんな「小手先の技術」を使わずとも、結果を残すことは十分可能なようです。今回のメルマガ『菊原智明の【稼げる人、売れる人に変わる知恵】』では、経営コンサルタントで関東学園大学で教鞭を執る菊原さんが、駆け引きなしのスタイルで優秀な成績を上げ続けている複数の営業マンのエピソードを紹介するとともに、「ストレート勝負」の有効性を説いています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:テクニックや変化球をやめて直球ストレートで勝負してみる
テクニックや変化球をやめて直球ストレートで勝負してみる
研修先の営業スタッフのAさんのこと。この会社は教育プログラムを販売している。
営業スタッフAさんは“契約数は少ないが1回の売り上げが大きい”といったタイプ。
コツコツヒットを打つのではなく“一発逆転ホームラン”を打つタイプだ。
波はあるが“最下位争いから一気にトップに躍り出る”といった大逆転をよくする。
以前は最終日に“社長を口説き落として社員全員分の教材を売る”といったことをした。
その数200人。これはすごい。
このAさんが“一発逆転の大型契約”を取る理由についてこんな話をしていた。
Aさん 「自分は駆け引きナシのストレート勝負をするんです」
私 「駆け引きナシですか?」
Aさん 「はい。とくに社長やリーダーの人にはうまく行きます」
私 「具体的にはどういった方法ですか?
Aさん 「この商品が今必要だと心から伝えます」
私 「なるほど」
Aさん 「自分は不器用なのでこれしかできないですけどね」
必要性を熱く伝える。苦労した経営者などに響くだろう。
Aさんの話を聞いた時“駆け引きしないで結果を出す”といったトップ営業スタッフのBさんのこと思い出した。
このBさんと話をした時のこと。Bさんは外資系の生保のトップ営業スタッフ。ほぼ歩合制で厳しい世界で生きている。
Bさんが営業のポイントについて「テクニックを使わないこと」という話をしていた。
一般的なお客様であればテクニックが通用することある。たとえば「今の保険ですと〇〇の場合、心配ですよ」と不安を突いてクロージングする。
いわゆる“恐怖モチベーション”と言われるもの。これも使い方によっては効果的だ。
他にもいろいろある。まずは「他社の商品の方がいいですよ」と驚かせるトークなどもある。
また「今日は話を聞きに来ただけでお売りしません」と挨拶することも。
時にはこういったテクニックも必要。警戒心を持っているお客様には効果的だ。
しかし、知人、先輩、社長、経営者などになると話は変わってくる。テクニックだと見透かされたとたん「一気にひかれてしまうんですよ」という。
確かに、友達から「他の人も検討しているから、今すぐ決めて」などと言われたくない。
商品の購入どころか「友達関係を考え直さないと」と思ってしまう。
また、会社の社長になると“人を見る目”が長けていることが多い。
少しでも変化球やいやらしいテクニックを使ったとたんに「もう帰っていいから」と退場させられてしまう。
Bさんは、テクニックではなく「気持ち一本で勝負します」といった話をしていた。
- 仕事に対する気持ちをしっかり伝える
- どれだけあなたのことを思っているのかを伝える
- すべての条件をさらす
などなど。
清々しいほどのストレートボール。一流の人たちには変化球を嫌う。どストレートの方が効果的なのだ。
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