被害は東日本大震災の10倍超。南海トラフ地震発生のカウントダウンが始まった

 

ヒロシマ型原爆を遥かに超える放射能汚染が西日本全域に

で、昭和に連続して発生した2つの南海トラフ地震から80年近くが経ったので、今ごろ駿河湾から日向灘まで続く南海トラフでは、引きずり込まれたユーラシアプレートが限界に近づいてて、そろそろビヨヨーンと戻る時期なんじゃないか?…というわけで、政府が専門家を集めて組織した地震調査委員会に試算させた結果が、「(南海トラフ地震は)今後30年以内に70~80%の確率で発生する」という予測だった。

政府の地震調査委員会によると、次に南海トラフ地震が発生した場合、マグニチュードは8超、最大震度は7超、沿岸部を襲う津波は高さ20メートル超、被害規模は東日本大震災の10倍を超えると試算されてる。南海トラフは沿岸部から目と鼻の先なので、地震発生から45分後には巨大地震が押し寄せる。だから、ほとんどの人は逃げられない。津波による浸水は、30都府県の737市区町村に及び、その面積は全国の約32%、つまり、日本列島の3分の1が水没するわけだ。

建物の倒壊や津波などによる死者は、関東から九州にかけて計32万3000人、負傷者は62万3000人、浸水などで自宅に住めなくなった避難者は950万人、建物の全壊と焼失は238万棟、そして、最終的な被災人口は全国民の53%に達すると試算されてる。名古屋や大阪は壊滅状態になり、直接は津波の被害を受けない東京も、海面の水位が3メートル以上も上昇するため、海抜ゼロメートル地帯は当然として、海抜3メートル前後の東京23区は半分以上が水没する。

東京は道路も線路も大半が水没するので、交通は完全に麻痺し、都市部の市民はどこへも逃げられなくなる。もしも、地震の発生時間が海の満潮時と重なったら、東京の水没面積はさらに広がる。あまりにも恐ろしい試算だけど、これはどこかの怪しげな自称専門家とかが言ってるんじゃなくて、政府の地震調査委員会が試算した公式見解なのだ。

だけど、この試算には、肝心なことが欠落してる。それは、原発事故を1ミリも想定してないという点だ。2011年の東日本大震災の被害が拡大したのは、津波によって電源を喪失した福島第1原発の水素爆発とメルトダウンだ。そして、政府の地震調査委員会の想定通りの南海トラフ地震が発生すれば、少なくとも静岡県の浜岡原発と愛媛県の伊方原発はマグニチュード8超の強震と高さ20メートルの津波に襲われる。それなのに、この試算では原発事故をまったく想定してないのだ。

ま、原発推進の自民党政権による地震調査委員会なので、原発事故を想定すること自体がタブーだったんだろう。だけど、次に南海トラフ地震が発生したら、福島第1原発を襲った津波の2倍近い巨大津波が、少なくとも2カ所の原発を襲うのだ。そして、地震の規模が想定を超えれば、鹿児島県の川内(せんだい)原発も巨大津波に襲われる。

この中で、何よりも恐いのが愛媛県の伊方原発だ。プルサーマル発電を行なってる伊方原発は、使用済み核燃料から取り出したプルトニウムとウランを1対9の割合で混合したMOX燃料を使用してるので、事故が起これば福島第1原発の比じゃない。ヒロシマ型原爆を遥かに超える放射能汚染が西日本全域に広がり、四国だけでなく九州や中国地方にも甚大な被害が及び、瀬戸内海と豊後水道は死滅する。

政府に雇われた御用学者は、「伊方原発は佐田岬半島の北側に位置するため津波の直接被害は受けないので問題ない」などと言ってるけど、津波以前に、現在の伊方原発は南海トラフ地震の強震に耐えられない。伊方原発を始め全国の原発は「マグニチュード6.5」を基準に耐震対策をしてるので、「マグニチュード8超」に耐えられるわけがない。

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