ガザに向く世界の目。「中東戦争危機」勃発で忘れ去られるウクライナ

 

ヘルソン州方面

ウ軍は、アントノフスキー鉄道橋付近、クリンキ付近、鉄道橋より上流付近で、渡河している。都合3ケ所で渡河した。3個海兵旅団の中から7個中隊が、ドニプロ側東岸で活動している。

鉄道橋から渡河した部隊はポイマまで前進している。東はヒケチャイウカ、ピテプネまで進出して、クリンキでの橋頭保を構築し、クリンチャを落とし、コザチ・ラヘリに向かっている。南はオレシュキー砂丘方向に前進している。

しかし、重火器をまだ渡河させていないことで、まだ本格的な渡河ではないようであるが、徐々に占領地を拡大している。

ロ軍は、増援部隊を投入すると思われるが、まだ到着していない。

その他の方面

ルハンスク展開のロ軍S-400防空システム3基がATACMSミサイル2機で破壊された。これにより、ルハンシクおよび、本土西部の防空に穴が開いた可能性がある。それと、トクマクではロ軍の電子戦装置が破壊されている。ウ軍のドローンの行動の自由を得ることが出来、今後の攻撃をしやすくする。

逆に、ロ軍航空機が機雷を敷設した。このため、キーウ港からの貨物船が出航できずにいる。しかし、穀物輸出はルーマニア経由で順調に行っている。

もう1つが、ウクライナ西部フメリニツキー原発にロ軍はシャヘドUAVで攻撃したが、この報復としてウ軍はロシアのクルスク原発にドローンで攻撃している。

ウクライナの状況

トランプ支持の福音派で共和党マイク・ジョンソン氏が、新下院議長になり、イスラエルへの支援を厚く、ウクライナへの支援を薄くするようであるが、プーチンが戦争に勝つことは許されないと述べた。ということで、すぐに支援がなくなることもないようだだが、援助額は少なくなる。

EUの500億ユーロ支援でもスロバキアとハンガリーがウクライナへの支援を拒否していることで、EU全体での支援もできない事態にある。

また、スロバキア新首相は、スロバキア単独での対ウ軍支援も停止するとした。ウクライナへの軍事援助がどんどん少なくなる可能性がある。

このため、ウクライナは自国生産にシフトする必要がある。このため、軍事装備生産大国への道を進んでいる。

しかし、英国は11日、1億ポンド(約1億2,100万ドル)以上相当の新たな軍事物資支援パッケージを発表し、続いて、米国は26日、1億5,000万ドル相当の新たな安全保障支援パッケージを発表した。ドイツも援助を積極的に行っている。しかし、米国の援助は、近々少なくなる。

それと、英国防省は27日、ロ空軍で長距離爆撃を担う部隊がウクライナに対し、巡航ミサイル攻撃を1カ月以上、控えていると分析した。ミサイルを備蓄し、冬場に電力インフラを狙う準備をしているとの見方を示した。イラン製の無人機を併用し、インフラ攻撃を繰り返す恐れがあるとウ政府に警告した。

もう1つ心配なのは、中東戦争に世界の目が行くことで、ウクライナが忘れられるということである。事実、このコラムでも比重が中東戦争の方に傾いている。

マルタで第3回「平和の公式」首脳補佐官級会合が開催されているが、66カ国がウクライナ和平案協議に参加しているにも関わらず、話題にならない。

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