3.詐欺・悪徳商法にもみられる手口の共通点
詐欺・悪徳商法では、多くの人にアタックして、だませる人を見つけようとします。
特殊詐欺では、一人でも多くの人に取得した名簿をもとに詐欺の電話をかけます。そしてその中から、騙される可能性のある人を探します。そのためにかけるのが、「アポ電」(アポイント電話)です。それから、詐欺の本電話をかけます。
旧統一教会の未証し勧誘(教団名を告げない勧誘)でも行われましたが、街頭で「手相の勉強をしています」「生活意識調査アンケート」と声をかけて、訪問先では「いいお顔してますね」と多くの人に声をかけます。
それに応じた人をターゲットとして、本来の目的である教義を教えるビデオセンターへの連れ込みを行い、教団は信者を爆発的に増やしました。
今回のFAX送付も、脈のありそうな人に手当たりしだいに送った手口ともいえます。
詐欺や悪質商法の被害防止に通じる点として、悪質業者などからのアプローチがあった時には、一人で胸のうちにおさめないで、その事実を公的機関に相談して、周りに伝えることが大事になります。
それにより手口が明らかになり、多くの人が詐欺や悪質商法の被害に遭わないことにつながってきます。
4.世界平和女性連合の裁判(10月23日)で驚いたこと
世界平和女性連合は、全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の7名に対して3,300万円の名誉毀損の裁判を起こしています。
同女性連合は、旧統一教会との友好団体であるとしており、教団への布教活動はしていないとしています。今後、その辺りは裁判を通じて明らかになってくると思われます、
しかし、ただの友好団体と主張するのには、かなり無理があるように思います。信者が中核になっている団体で、私自身も信者だった頃は、教団の組織の一部として捉えて活動していたからです。
同女性連合の堀守子会長は「世界平和女性連合は世界的組織であり、旧統一教会、韓鶴子総裁、文鮮明氏により1992年に設立された」と述べており、何より会長自身が旧統一教会の元会長の娘です。
元会長のバックボーンがあってこそ、会長職におさまっているのは誰の目にも明らかで、旧統一教会とは、ただの友好団体とするには説得力に欠けています。
そして全国弁連から指摘された「韓鶴子総裁が国際世界平和女性連合(WFWP)の会長を任命している」点について、堀守子氏は「最高裁判所の長官は、天皇陛下が任命することになっている」とそれと同じであるといいます。
傍聴席でそれを聞いて「いやいや」と首を振りました。
そもそも天皇陛下と、韓鶴子総裁とは立場は違い過ぎます。
紀藤弁護士も、後の記者会見で、この発言をばっさりと切ります。
「天皇陛下には(任命されたら)決められたことを拒否する権限はないですから、全く違います。天皇陛下は象徴ですので」
その通りです。
韓鶴子総裁は、信者にとってメシヤとしての存在であり、彼女から出た言葉は神の言葉であり、絶対に異を唱えることはできません。もしそのようなことをすれば、天国には行けず、地獄にいくことになると信者らは信じています。
旧統一教会と関連団体にとっての絶対的な指導者が韓鶴子総裁です。
一般の人は傍聴席で、この発言を聞いて驚いたと思いますが、おそらく信者らは何も感じていないと思います。
こうした社会の人たちとの認識のズレが、数々の旧統一教会が金銭的被害を生み出し、社会問題を起こした一因といえます――(この記事はメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』2023年11月28日号の一部抜粋です。続きは、ご登録の上お楽しみください、初月無料です)
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image by: Unification Church Hungary, CC0 1.0, via Wikimedia Commons