自民党内で「NTT法廃止」が議論されている中、楽天の三木谷浩史会長がSNSで示した疑義に対してNTT広報室の公式アカウントが反論したことが大きな話題になりました。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』で、ケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんは、そもそもNTT法の廃止は「防衛財源を確保するためにNTT株を売却」することが目的ではじまった議論であることを紹介しつつ、大前提である「NTT株の売却」「防衛財源の確保」がうやむやになり、自民・政府の中で「廃止」することが既定路線になっている点を指摘。他の大手キャリア3社も「廃止」に懸念を示す中、総務省がNTTや有識者らとどのような形で話をまとめるかに注目しています。
「NTT法廃止」は既定路線か? うやむやになった「防衛財源を確保のため株売却」という“建前”
今週、NTT法のあり方を巡って、自民党のプロジェクトチームがまとめた原案から表現などに一部修正が入った上で、提言をまとめていくという報道があった。
22日の会合では、公平競争の整備やNTTが担うユニバーサルサービスの維持については「別の法律で担保する」とし、廃止時期も「再来年の通常国会を目処に」という表現に修正される方向だという。
結局、NTT法は「廃止」であり、単に時期がちょっとだけ遅れただけに過ぎないようだ。
本来は「防衛財源の確保」が、NTT法のあり方に対する議論のきっかけだったにも関わらず、NTT株の売却についてはうやむやで終わってしまうと見られている。
「NTT法について解説して欲しい」ということで、11月25日、大阪・朝日放送で東野幸治さんがMCをしている「正義のミカタ」に出演してきた。
番組には政界に通じている先生方も多くおり、番組中やCM中にいろいろと聞いてみたが「NTT株を売るなんて馬鹿げている」という結論でまとまってしまった。
NTT株を一時的に売ってしまうよりも、所有し続けて、継続的に配当を受け続けるほうがいい。防衛財源の確保は、国債を発行するなど、ほかにもやり方はいいろあるということであった。
おそらく、自民党のプロジェクトチームとしても「売却より保有」のほうが長期的にメリットがあると判断したのではないか。しかし、何かしらの成果を出さなくてはならないので、「NTT法は廃止」という結論に至ったのだろう。
総務省関係者に話を聞くと、当然のことながら「NTT法をなくすなんて絶対にありえん」というスタンスだ。
プロジェクトチームが「再来年の通常国会を目処に」としたことから、来年は総務省で有識者会議が何度も開かれ、NTT法は見直しか廃止かの議論が展開されるのだろう。
ここで、総務省が上手いこと「廃止ではなく見直し」というシナリオを描き、NTT法の維持につなげることができるのか。それともNTT側の強い主張で「廃止」になっていくのか。
「NTT法を廃止して別の法律で縛れば良い」とNTT側は主張するが、それでは「設備を関連会社に移してシェアを下げ、縛りから逃れるのではないか」とソフトバンクの宮川潤一社長は警戒しており、このあたりを納得させられるかがNTTには重要だろう。
2024年は日本の通信業界にとって、大きな節目を迎える年になるかも知れない。
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