米国の権威ある医師会雑誌が、乳ガン・大腸ガン・心血管疾患に関して「脂肪悪玉説」を否定していた

A young woman pinches fat on the side of her waist to show a flabby, overweight body after pregnancy and childbirth
 

次に前向きコホート研究です。

<前向きコホート研究>

(1) 低炭水化物・高脂肪・高タンパク食に冠動脈疾患のリスクなしであり、一方、総炭水化物摂取量は冠動脈疾患リスクの中等度増加に関連していた。

高GLは冠動脈疾患リスク増加と強く関連していた。

ニューイングランドジャーナルのコホート研究

82802人 20年間 2006年掲載 ハーバード大学

炭水化物摂取比率36.8±6.1%グループと58.8±7.0%のグループの比較。

Halton TL, et al. Low-carbohydrate-diet score and the risk of coronary heart disease in women. New England Journal of Medicine 2006;355:1991-2002.

(2) 21論文、約35万人をメタアナリシスして、5-23年追跡して1.1万人の脳心血管イベントが発生。

飽和脂肪摂取量と脳心血管イベントハザード比を検証してみると、飽和脂肪酸摂取量と脳心血管イベント発生は、関係がないことが判明。

Siri-Tarino, P.W., et al., Meta-analysis of prospective cohort studies evaluating the association of saturated fat with cardiovascular disease. Am J Clin Nutr, 2010. 91(3): p. 535-46.

(3) 「炭水化物の摂取増加で死亡リスク上昇」

ランセット誌のオンライン版(2017/8/29)で、カナダ・マックマスター大学のMahshid Dehghan博士らが報告。

https://doi.org/10.1016/S0140-6736(17)32252-3

5大陸18カ国で全死亡および心血管疾患への食事の影響を検証した大規模疫学前向きコホート研究(Prospective Urban Rural Epidemiology:PURE)の結果。

2003年1月1日時点で35~70歳の13万5335例を登録し、2013年3月31日まで中央値で7.4年間も追跡調査。

・論文の内容を要約

1)炭水化物摂取量の多さは全死亡リスク上昇と関連。
2)総脂質および脂質の種類別の摂取は全死亡リスクの低下と関連。
3)総脂質および脂質の種類は、心血管疾患(CVD)、心筋梗塞、CVD死と関連しない。
4)飽和脂質は脳卒中と逆相関している。

・炭水化物摂取比率 総死亡率

1群 46.4% 4.1%
2群 54.6% 4.2%
3群 60.8% 4.5%
4群 67.7% 4.9%
5群 77.2% 7.2%

・脂肪の摂取比率 総死亡率

1群 10.6% 6.7%
2群 18.0% 5.1%
3群 24.2% 4.6%
4群 29.1% 4.3%
5群 35.3% 4.1%

前向きコホート研究(1)の結論は「高脂肪食に冠動脈疾患のリスクなし」です。

前向きコホート研究(2)の結論は「飽和脂肪酸摂取量と脳心血管イベント発生は、関係がない」です。つまり、肉の脂も大丈夫ということです。

前向きコホート研究(3)の結論は「脂肪の摂取比率が多いほど総死亡率は低下する」です。つまり、脂肪が体に悪いどころか、多く食べるほど、体に良いということです。

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(財)高雄病院および(社)日本糖質制限医療推進協会 理事長。内科医。漢方医。京都大学医学部卒、同大胸部疾患研究所等を経て、1978年より医局長として高雄病院勤務。2000年理事長就任。高雄病院での豊富な症例をもとに、糖尿病治療、メタボ対策としての糖質制限食療法の体系を確立。自らも二型糖尿病であるために実践し、薬に頼らない進行防止、合併症予防に成功している。

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