2.なぜ、自然災害後に起きるのか?
本日(1月14日)に、ビートたけしのTVタック(テレビ朝日)にて、闇バイト募集の現状について放送される予定です。
今回の能登半島地震における、詐欺や窃盗、悪質商法の被害拡大の懸念をこれまでの災害以上に持っています。
といいますのも、お金に困った人たちを犯罪者に仕立て上げる、SNS上で募集する闇バイトも多くあり、私たちの身近に存在しているからです。募集に手を染める人たちも増えて、被災地での被害が増えるのではないかと心配しています。
闇バイトの募集に電話をしてわかるのは、彼らの「捕まらない」という嘘です。しかし相手は詐欺をしているグループです。その巧みな言葉にひっかかり、実行犯となる人たちが多いのも実情です。
実は、自然災害後に犯罪や悪質商法が増える要因の一つに、行いやすい状況があります。
私たちがもし、普段の生活で不審な人を見つけたり、何かしらの被害に遭えば、すぐに携帯などで通報ができると思います。もしかすると、防犯カメラ映像により、犯人が特定されるかもしれません。
しかし被災地では、それがすべてできません。地震により電気などライフラインは寸断されて、家の電話は通じず、携帯も電波が届かず、警察への通報がすぐにできません。もし家にセキュリティシステムを入れていても、それが機能しません。
インターフォンさえ使えず、誰かがきたら、ドアをあけて直接に対面しなければならないこともあるでしょう。まさに、犯罪や悪質商法を行うグループにとって犯罪や悪質商法の行為をしやすく「すぐに捕まらない」状況が出てきてしまっているわけです。
地震に便乗した犯罪や悪質商法をする者にとって、この状況はまさに闇バイトなどでよく使われる「捕まらないから」という言葉を使い、犯罪に引き入れやすい状況にあるといえるわけです。
3.騙されないためには、どのような対策が必要なのか。
一日も早いインフラ整備を望みますが、それができない状況下では、近隣の警戒と一人でも多くの警察官による監視の目が必要となります。
そうしたなかで、大学生の男が輪島市にある70代男性の住宅に侵入し、家にあったみかん6個を盗んだとして、現行犯逮捕の報道がありました。
みかん6個(3,000円相当)で逮捕と思った方もいたかもしれませんが、大事なことは「不審に思った近所の住民が身柄を確保し通りがかった警察官に引き渡した」ということです。
電話も通じず通報もできないなかで、近くを巡回している警察官に引き渡せる。こうした環境作りがとても大事だといえます。
騙そうとやってくるのは、個人よりも複数人(組織)でやってくることの方が多いのではないかと思います。そうなると、多勢に無勢だと断りづらい状況に追い込まれますので、一人で家にいる高齢者の方は「無料で点検しています」という業者をできるだけ断るようにしてください。
もし強引に工事をさせられたとしても、諦めないでください。「188(消費者ホットライン)」や近くの消費者センターに相談してください――(この記事はメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』2024年1月14日号の一部抜粋です。続きは、ご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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