騙されないほうが難しい!? 詐欺師の「巧妙な手口」をすべて公開した一冊が面白い

 

さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。

詐欺師はまず、自分のことを誠実な人間だと相手に信じ込ませる。次に、ほとんど抵抗できないほど強くカモの欲望を掻き立てる。それから、これは不正な方法だからこそ“確実”なのだと説明して、大金を儲けさせる。すると、楽して儲けたいという欲望が激しく燃え上がり、疑念もすべて吹き飛んでしまう

◆ビッグ・コンによる詐欺のステップ

一、裕福なカモの住居を突き止め、身元調査を行なう(<カモを見つける>)

二、カモを信用させる(<仕事を始める>)

三、カモを<インサイドマン>に会わせる(<カモを捕まえる>)

四、インサイドマンがカモに、不正に大金を儲ける方法があると話す(<話を持ちかける>)

五、試しにやらせて、カモに儲けさせる(<エサ>を与える)

六、カモに投資額を決めさせる(<ブレークダウン>の段階に入る)

七、金策のためにカモを家に戻す(<センド>の段階に入る)

八、ビッグ・ストアで賭けをさせて、カモの金を巻き上げる(<タッチ>を騙し取る)

九、できるだけ早くカモをお払い箱にする(<ブロー・オフ>の段階に入る)

十、カモが告訴しないように警官がなだめる(<フィクス>の段階に入る)

詐欺師が起訴されるのを阻止したり起訴を遅らせたりするには、地元の刑事部長や警察署長や保安官の力が絶対に必要だ。何十人もが買収された

ベイツ氏はその場に立ちつくし、手にした金をいじるしかなかった。鼻の先で受付は締め切られた。(中略)あと一人分だけ前に並んでいれば間に合ったのにと思った。ベイツ氏は知らなかったが、彼は<シャット・アウト>または<プラット・アウト>と呼ばれる巧妙な罠にはまったのだ。カモが賭けにのめり込んでいないと<マネージャー>が思ったら、この方法であぶく銭への執着心を掻き立てる。逃した金の大きさがカモの心にしっかり焼きつくまで数回繰り返されることもある

カウント・アンド・リード

贋札かどうか確かめるふりをしてカモの金を騙し取る

ダブル・トレー

二個のいんちきサイコロ(ダブル・トレー)で賭博場を騙そうとカモに持ちかけ、本物のサイコロにすり替えて金を巻き上げる手口

言語学者の著者らしく、本書の巻末には、詐欺師があだ名で呼び合うことや、専門用語を好むことなど、言葉研究の成果が書かれています。

インターネット上では、あだ名で活動する人が増えていますが、一部の方々はきっと、詐欺師の心理が働いて、そうしているんだろうなと思います(笑)。

転ばぬ先の杖として、ぜひ、読んでいただきたい一冊です。

image by: Shutterstock.com

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Amazon.co.j立ち上げに参画した元バイヤー、元読売新聞コラムニスト、元B11「ベストセラーBookV」レギュラーコメンテーター、元ラジオNIKKEIレギュラー。現在は、ビジネス書評家、著者、講演家、コンサルタントとして活動中の土井英司が、旬のビジネス書の儲かる「読みどころ」をピンポイント紹介。毎日発行、開始から既に4000号を超える殿堂入りメルマガです。テーマ:「出版/自分ブランド/独立・起業」

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【著者】 土井英司 【発行周期】 日刊

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