派閥解消と禁煙ほど容易いものはない
ただし、これほどあっけなく派閥を解散できるということは、派閥をつくるのも簡単であるという事実を物語っている。
1月20日付の朝日新聞「天声人語」にこんな一節がある。
過去の本紙を見ると、永田町には「派閥解消と禁煙くらいたやすく実行できるものはない」との言葉があったそうだ。
たしかに「派閥解消」の声は福田赳夫首相が唱えていた時代から絶えたことはない。とくに、リクルート事件、東京佐川急便事件、金丸事件などと金権腐敗事件が続いたことで、自民党への世間の信頼は地に堕ちた。
1993年に下野したあと、若手を中心に「派閥解消」を党再生の切り札とすべきだという声が強まった自民党は翌年、政権に復帰すると、明確に宣言した。
「派閥事務所を本年末までに閉鎖する」。にもかかわらず、その後も現実に派閥は存続してきたのだ。彼らの宣言や決意が、結局のところポーズにすぎないことを経験的にわれわれ一般国民は知っている。
おそらく、この問題に世間の関心が薄れたころには、宏池会や清和会の流れをくむ派閥が復活していることだろう。勉強会とか研究会と称して集まってきた議員たちがその気になって、どこかに事務所をかまえて事務員を置けば、すぐに別の派閥らしきものができる。
法律に基づいた制度でもなければ、自民党の公式な組織でもないから、難しい手続きは不要だ。
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