田中角栄の懸念が現実に。山本一太と小池百合子と高市早苗の言動

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今年1月、山本一太群馬県知事は、高崎市の県立公園にある朝鮮人追悼碑を行政代執行で撤去しました。この山本知事について、やはり参議院議員だった父親とは大違いで浅薄と評すのは、辛口評論家として知られる佐高信さん。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』では、故田中角栄氏が戦争を知らない世代が中核となる社会を案じていたと紹介。戦争責任を忘れたかのような言動をする政治家として、山本知事に加えて、小池百合子氏と高市早苗氏の名をあげ、アジアの留学生が日本人学生に語った痛烈な言葉を伝えています。

山本一太と小池百合子と高市早苗

「戦争を知っている奴が社会の中核にいるうちは、日本には間違いがない。しかし、知らない奴が出てきた時が、怖い。若い奴に勉強させなきゃいけないね」

田中角栄は口癖のようにこう言っていたが、その心配がいま、各所で現実のものになっている。

都知事の小池が、石原慎太郎でさえ、送っていた朝鮮人虐殺追悼メッセージを送らなくなったこともそうだし、群馬県知事となった山本一太が、高崎市にある県立公園「群馬の森」に設置された朝鮮人追悼碑の撤去に着手したこともそうである。

山本は安倍晋三の盟友で、自民党森喜朗派(のちの安倍派)の参議院議員だった時、逸早く、「ポスト小泉(純一郎)は安倍官房長官しかない」と宣言して動き出した。これには森も怒り、「安倍君のためにならない。ひいきの引き倒しだ」と批判して、「イエローカードどころかレッドカードだ」と派閥退会まで通告したのである。

しかし、山本の先走りによって安倍への流れができ、菅義偉とのコンビで安倍首相実現に向かって動き出す。いわば山本は最初にゲリラ戦を仕掛けたのだった。そんなわけで、山本は安倍と思想的にも極めて近かった。それが今度の朝鮮人追悼碑の撤去につながっているのだろう。

残念なのは、一太の父親の山本富雄は息子のような浅薄な人間ではなかったことである。父親が立派過ぎて息子が反発するのはよくあることだが、山本親子の場合は違いすぎる。

父親の富雄は自民党の参議院議員だったが、学生時代は穂積五一が起こしたアジア学生文化会館に入っていた。「村山談話」の村山富市も入っていたところである。

アジア、アフリカ、ラテンアメリカの国々からの留学生や研修生が起居するその会館を運営するアジア学生文化協会の初代理事長だった穂積は「アジア留学生の父」と呼ばれ、1981年に亡くなった時には中国をはじめ、各地で追悼集会が開かれた。

ある時、会館に入っていた日本人の学生が「あの戦争は軍部がやったことで、自分たちはまったく関与していないから何の責任もない」と話した。すると、それまでにこやかにしていたアジアの留学生が「もう一度言ってごらん」と返した。それはその日本人学生を気まずく黙らせるほどに鋭かった。

「済んだことは忘れよう、新しい立場で仲よしになろうではないかと言う日本人がいるが、忘れようと言えるのは自分たちだ。日本人が忘れようなどと言うのはおかしい」

自分たちには責任はないと戦後生まれの高市早苗も言ったが、山本一太も同じなのだろう。そのアジアの留学生はトドメを刺すようにこう言ったという。

「自分は赤ん坊の頃か、両親に叱られる時は、きまって、“日本人が来るぞ”と言われた。こうして育った情感は消えない。これは日本人にはわからないだろう」

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image by: Facebook – 群馬県知事 山本一太のページ 

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