あまりにも多い「反プーチン派」の死。ナワリヌイ氏は“消された”のか?

Berlin,Germany,February,18,,2024:,After,The,Death,Of,Kremlin
 

全世界に衝撃を与えた、ロシアの反政府活動家アレクセイ・ナワリヌイ氏の獄死。当局は事件性を否定しているものの、残された家族からの遺体返還の求めに対して「数週間かけ死因を再調査する」としています。なぜここまで時間をかける必要があるのでしょうか。今回の『きっこのメルマガ』では、ナワリヌイ氏の死因に疑念を抱く人気ブロガーのきっこさんが、これまで報じられてきた反プーチン派の不審死をあらためて取り上げるとともに、ナワリヌイ氏の遺体返還に数週間を要する「プーチン大統領サイドの事情」を紹介しています。

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遺体返還まで数週間。世界が疑う「ナワリヌイ氏の死因に事件性なし」

2月16日、ロシアのプーチン大統領による国営企業を私物化した巨額横領事件を追及して来た、反体制派指導者で弁護士のアレクセイ・ナワリヌイ氏が、収監されていたシベリアの刑務所で死亡したと報じられました。まだ47歳の若さだったといいます。ロシア当局は検死の結果として「事件性はなく死因は突然死症候群」と発表しました。

しかし、この報道を耳にした人の多くは、反射的に「プーチンの指示で暗殺された」と思ったでしょう。本来は、何の確証もなくこのような決めつけをするのは良くないことですが、死亡の2日前に接見した弁護士は「ナワリヌイ氏の健康状態に問題はなかった」と証言しており、その前日に撮影された動画にも元気な様子が残っているのです。

また、遺族からの遺体返還の要求を、ロシア当局は何故だか頑なに拒否し続けているのです。この2点だけでも、ロシア当局の発表など鵜呑みにできなくなります。他にも、ナワリヌイ氏の側近のレオニード・ヴォルコフ氏が「ロシア当局が、刑務所でアレクセイ・ナワリヌイを殺したと告白文を公表した。これが本当かどうか、確認も証明することもできない」とSNSに投稿しました。

そもそもの話として、ナワリヌイ氏は2020年8月20日、シベリアからモスクワへ移動中の旅客機の中で、突然、苦しみ出して意識不明に陥り、オムスクの空港に緊急着陸して病院に搬送されています。幸いにも一命はとりとめたものの、この日、ナワリヌイ氏は朝から一杯の紅茶しか飲んでおらず、この紅茶に何者かが毒物を混入させた可能性が疑われました。担当医も、当初は毒物の混入を認めたのです。

しかし、この担当医は、数日後に「毒物混入は考えられる可能性の1つに過ぎない」と発言をトーンダウンさせました。命に係わるほどの毒物なのですから、簡単に検出できるはずなのに、それをせず、疑惑を疑惑のままで放置したのです。その上、この病院にいては殺されると感じたナワリヌイ氏が「ドイツの病院への転院」を申し出ると、この担当医は「今の容体ではとても転院などできない」と、何故だか必死に阻止しようとしたのです。

結局、ナワリヌイ氏は強引に転院しましたが、ドイツの病院で血液検査をしたところ、ソビエト時代からロシアが開発していた化学兵器「ノビチョク」の成分が検出されたのです。ノビチョクの致死性は非常に高く、VXガスの5~8倍と言われています。

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