ブッシュ元大統領(当時)が来日しての「世界平和女性連合」の95年のイベントでの講演
一つの例をあげれば、1995年9月に教団の関連団体「世界平和女性連合」が主催する「地球家族祭り(グローバル・ファミリー・フェスティバル)」が行われました。
全国の教会員にイベント参加の動員がかけられて、私自身も東京ドームに仙台の教会員とともに参加しました。基調講演は韓鶴子総裁だったと記憶しています。当時のジョージ・ブッシュ元大統領が来日して、14日の東京ドームをかわきりに、全国5カ所で特別講演をしました。
それからしばらくしてから、仙台教会の礼拝堂で、後に教団の会長となる人物から「この時のイベントは順調に行われたわけではない」という裏話がありました。
当時の報道によると、確かに全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)は、アメリカのブッシュ氏の事務所に「(講演を行えば)教団の信頼度を高め、霊感商法の被害拡大につながる」として出席の中止を求める文書を郵送しています。
ブッシュ氏、本当は悩んでいたとの裏話が教団内部で語られる
「反対派の攻撃がありましたが、ブッシュ前大統領は来日しました」と、後に会長になった人物は語ります。
さらに続けて「しかし実際に来日してみると、霊感商法による教団への反対の声は大きく、(反対する議員などから)ブッシュ氏の耳にもそうした声が入ってきました。それにより、ブッシュ氏は『講演を途中でやめて、帰国しようか』と悩みました。しかし傍にいる食口たち一人一人の誠意ある姿を見て、私たちを信じてくれて、最後までブッシュ氏は講演をやり遂げたのです!」
サタン側の試練に打ち勝って、神側の使命を果たした共和党のブッシュ前大統領(当時)に大きな希望を感じたものです。おそらくその場にいた信者らは全員、モチベーションをあげたことでしょう。そして布教活動や教団の関連団体のイベントの動員にいそしみました。
このように教団内部では、信者を鼓舞するために、もちろん、都合の悪い情報は隠されますが、教団にとって有利になる情報な裏事情は共有されます。
こうした体質は今も変わっていないと思いますので、解散命令請求の裁判は非公開ですが、教団側に有利になるような形で、内部的には語られる可能性が高いと思っています。それに対して、国民の側には裁判の内容は伝えられませんので、国民と信者との間に大きな情報格差がうまれてくることを懸念するわけです――(この記事はメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』2024年2月28日号の一部抜粋です。続きは、ご登録の上お楽しみください、初月無料です)
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