プーチンの一人勝ちに。ウクライナの消滅と欧米の敗北を意味するだけの「早すぎる停戦交渉」

 

バルト三国、東欧のNATO諸国、北欧方面にも伸びていくロシアの牙

ロシアはウクライナによる反転攻勢中に体勢を立て直し、今では武器弾薬の生産体制も確立し、補給線も強固になりつつあると言われており、近々、本格的な攻勢に乗り出すのではないかと噂されるほどの充実度を誇り始めています。

すでにロシアとウクライナの戦力差は歴然であり、そこにウクライナ側の最前線で広がる厭戦ムードと極限の疲弊が加わり、とてもequal standingで交渉できるような状況にはありません。

このまま、支援が滞り、支援国からの停戦への圧力が強まって、交渉のテーブルにウクライナが引きずり出されるような事態になった場合、かなりの確率で予測できる帰結はウクライナの消滅を伴うウクライナおよび欧米諸国とその仲間たちの敗北です。

表向きは停戦がしばらく続きますが、ユーラシア・コーカサスからは欧米諸国の影響力は削がれ、ロシアがウクライナ戦争の傷跡から立ち直り始め、軍の体制が整った暁には、ウクライナを席巻するだけにとどまらず、ロシアの牙はバルト三国、そして東欧のNATO諸国、そして北欧方面にも伸びていくことになります。

まずはモルドバやバルト三国がターゲットになり、そのうち、今はロシアと距離を置くスタン系の国々もまたロシアへの接近を図り、そこに大きなロシア勢力圏が復活するというプーチン大統領の夢に近づくシナリオが予想できます。

できるだけ早い時期に停戦は必要だと真に信じますが、そのためにはウクライナを支援し、ロシアと面と向かって話ができる環境を作ってあげないといけません。

これ以上の慎重さと支援の遅れは、ヨーロッパ各地に不穏な空気を運びこみ、大きな安全保障上の脅威をNATOに及ぼすことになります。

では同じくongoingな悲劇であるイスラエルとハマスの戦いはどうでしょうか?――(メルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』2024年3月15日号より一部抜粋。続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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