そして、3月19日。プーチンは、アメリカからの警告について発言しました。『タス通信』3月19日付。
● 出所:Путин назвал шантажом заявления Запада о возможности терактов в России
ざっくり訳してみましょう。
プーチン大統領、ロシアでのテロの可能性に関する西側の発言を脅迫だと非難
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ロシア連邦におけるテロの可能性に関する西側諸国の発言は完全な脅迫だと非難した。
FSB理事会で国家元首は、「ロシアにおけるテロ攻撃の可能性について、西側の多くの政府機関が最近挑発的な発言をしたこと」を回想した。
「これはすべてあからさまな脅迫であり、社会を脅迫して不安定化させようとする意図に似ている」とプーチン大統領は確信している。
ところが、プーチンが「フェイクだ」と確信したアメリカ諜報機関の情報は、「本物」だった。テロリストは、攻撃を延期しただけで、中止はしていなかった。そして3月22日、テロが起こったのです。
犯人は、「イスラム国」(IS)
2日前、私は犯人について「三つの可能性」を挙げました。すなわち、
- IS
- ウクライナ
- プーチンの自作自演
あれから2日たち、どうやらISで確定みたいです。というのも、IS系のメディアが、犯人自身が撮影した動画を公開しているからです。『日テレニュース』3月24日付。
ロシアのコンサート会場で起きた銃乱射事件で犯行声明を出している過激派組織「イスラム国」に関連するメディアが23日、襲撃時に撮影したとする映像を新たに公開しました。
過激派組織「イスラム国」系の通信社がSNSに投稿した映像では、襲撃グループがコンサートホールとみられる場所で銃を乱射するなどの様子が映されています。
この中では、メンバーが「容赦なく殺せ」と指示したり、「異教徒たちは倒された」と叫ぶ声も記録されていました。
『中央日報』3月25日付。
ISは23日、自分たちが運営する通信社アマクを通じて犯行映像の一部を公開した。動画によるとテロリストが観客を1カ所に追い詰めて銃撃を加えるために非常階段に火を付けるなど緻密に犯行を計画した情況が明らかになった。
前号、前々号で触れましたが、ISは、プーチンを憎んでいます。
2011年にシリア内戦が起こった時、ISは、「反アサド派」に属していました。それが2014年6月、イラク第2の都市で油田のあるモスルを陥落させ、シリア、イラクにまたがる広大な領域を支配するようになった。
2014年8月、オバマ・アメリカは、IS空爆を開始。しかし、ISはアメリカと同じく「反アサド」なので、本気で空爆できない。
そこに登場したのがプーチンです。プーチンの目的は「アサド政権を守ること」ですから、IS殲滅に容赦がありません。2015年9月から、熾烈な空爆を繰り返し、ISに壊滅的な打撃を与えたのです。
まさにロシア軍によって、ISは衰退したのです。それで、ISはプーチンを憎んでいます。
IS。
2014年、2015年は、誰でも知っていましたが、最近忘れていた人がほとんどだと思います。それで、「ISがモスクワでテロ!」というニュースを聞いた時、「唐突感」「違和感」を持った人が多かったことでしょう。
確かにISは、プーチンにボコされて、衰退しました。しかし、その後も活動を続けています。『中央日報』3月25日。
イスラム極端主義武装勢力のイスラム国(IS)のアフガニスタン支部イスラム国ホラサン州(ISIS-K)は22日、テレグラムを通じた声明で「(IS戦闘員が)攻撃を加えて数百人を殺して負傷させた」と明らかにした。
最近数年間にわたってプーチン大統領を批判してきたISIS-Kは今年1月、イラン革命防衛隊傘下コッズ部隊司令官だったソレイマニ氏の4周忌追悼式の爆弾テロによって80人余りを殺害するなど数件のテロを起こしている。