解散総選挙なら自民大敗「衝撃の予想議席数」…政局マニア岸田総理が上川「うまずして」発言の揚げ足を取るしかない理由

 

自民大苦戦。現在の選挙情勢から議席数を予想する

では、まずその比例について考えてみるために、政党支持率を比較することにします。現時点での(本年2024年5月)のNHK世論調査による政党支持率と、岸田総理が解散して勝った21年10月の選挙直前を比較してみます。順番は「21年10月 ーーー>24年5月」です。ちなみに、21年10月の調査は「選挙トレンド調査」となっています。

自民 38.8% ーーー>27.5%
立憲  6.6% ーーー> 6.6%
維新  2.3% ーーー> 4.5%
公明  3.9% ーーー> 3.1%
共産  2.8% ーーー> 3.0%
国民  1.0% ーーー> 1.1%
れいわ 0.6% ーーー> 1.2%
(以下略)

まあ、こんなものかとも思いますが、よく考えるとNHKの世論調査というのは、国会に議席がないとカウントしません。ですから、今回の調査でも日本保守党は入っていなかったりします。また、無党派層が無回答を含めると21年で45%、今回24年は51%もある中では、その無党派層がどう動くのかは、投票率を含めて極めて不透明です。

そんな中で、この調査の中で大きく浮かび上がっているのは、自民党の支持率低下です。岸田内閣発足直後から見て、現在は38.8から27.5へと10%以上落ちているのですから、これは大変です。

この10%ダウンに加えて、無党派層の自民離れという現象が大きく乗っかる中では、どう考えても支持が大きくスイングするというのは避けられないと思います。

では、日本の選挙の場合にどのぐらいスイングするのかという傾向を見てみることにします。

まず、1993年の宮沢自民党の下野、細川連立政権が成立という政権交代の選挙は、実は中選挙区制で行われているので、小選挙区と比例の比較対象になりません。また、自民党の場合は、選挙前に離党者が相次いでいるので党勢の前後比較というのは、直前の比較も、その前の総選挙との比較もあまり応用が効かないのです。

そこで、今回は、2009年と2012年の政権交代を見てみます。

保守系(自民党系)
2009選挙前  332
2009選挙後  140(小 64、比例76)

2012選挙前  139
2012選挙後  325(小246、比例79)

左派系(旧民主党系)
2009選挙前  127
2009選挙後  320(小228、比例92)

2012選挙前  325
2012選挙後   58(小 28、比例30)

衆議院の定数は465ですから、過半数は233です。そんな中で、2009年には自民党系は332議席から140議席へ、民主党系は127から329へと大きなスイングが発生しました。

反対に、2012年には、自民党系は139議席から325議席へ、民主党系は325議席から58議席へと大きく転落しています。

つまり、日本の有権者はこのぐらい激しいスイングができてしまうのです。この2回の政権交代選挙では民意は明確であり、その結果も極めてドラスティックなものでした。

その一方で、そこまで大きく振れないとしても、制度的には次のようなことが言えます。

「小選挙区の289から200を取り、比例の176の2割にあたる34を取ると、合計は234で過半数を制して政権が取れる」

ということです。そうした前提で見てみますと、現在の選挙情勢から考えてみると、

保守分裂の中で仮に保守系が小選挙区で大苦戦、一方で左派系が緩い選挙協力に成功すると、ヘタをすると200を取ってしまう

「自民に大逆風、維新も万博で逆風、保守は全くの新人ばかりとなると、立憲+共産+国民+れいわで現在のNHK調査支持率の合計は11.3%あり、無党派層を抱き込んで倍増させ、比例の20%イコール34議席はそんなに難しくない

ということで、どう考えても左派系が有利になります。そこまでは簡単な予想ができるわけです。そのぐらいのことは、岸田もその周辺も考えているのに違いがありません。

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