過去30年の税制改革は、すべて「トヨタ優遇政策」だった
ここまで、「消費税には輸出還付金という制度があり、これは事実上、輸出企業への補助金になっている」ということを指摘してきました。この制度の建前は、
- 消費税は、国内で消費されるものだけにかかり、輸出されるものにはかからない
- だが、輸出されるものも、国内製造の段階で、材料費などの消費税を支払っている
- そのため、ものが輸出されるときに、支払った消費税を還付する
というものです。この理屈だけを見ると、輸出還付金は別に輸出企業の補助金ではなく、まっとうな制度のように見えます。が、輸出している大企業のほとんどは、国内で製造するときには、下請け業者に対してまともに消費税は払っていない、だから、事実上、還付金だけ受け取っていると、筆者は述べたのです。
しかし、筆者がこう述べても、まだ「輸出還付金は別に補助金ではない」と思っている人もいるでしょう。
そこで、さらに別の角度から、この「輸出還付金」について分析したいと思います。この2~30年の税制が、いかに輸出企業(特にトヨタ)を優遇するものになっていっているのかを明らかにしたいと思います。
ここ2~30年の税制の流れを見てみると、明らかに輸出企業(特にトヨタ)に有利な方向に行っているのです。この消費税の輸出還付金について論じる場合も、税制の大きな流れも視野に入れて考えないと「木を見て森を見ず」の状態になってしまうのです。
あまり語られることはありませんが、ここ2~30年の日本の税金は、あからさまにトヨタが得をするような変革をとげてきました。日本の税制は、トヨタを中心に回っているといってもいいほどなのです。トヨタが関連する最近の税改正をあげてみましょう。
●1989年:物品税廃止
これにより自動車購入にかかる税金は消費税を含めてもかなり割安になった。
●1989年:消費税導入
消費税の輸出戻し税制度により、トヨタは消費税の納付よりも還付金の方が多く、トヨタにとって消費税は納めるものではなくもらうものとなった。
●2003年:一定の研究開発を行う企業に大減税
これによりトヨタの法人税は、実質20%減となる。
●2008年:子会社からの受取配当金を非課税とする
トヨタはこの恩恵のために、5年間、法人税を払わずに済んだ。
●1980年代~現在:法人税減税
大企業の法人税は1980年代と比べて約半分になった。
以上のように、90年代から現在にかけて、トヨタ関連は矢継ぎ早に減税されています。しかも2010年代以降も、法人税減税などがされており、トヨタには減税に継ぐ減税が行われているのです。









