蓮舫氏だけではない。小池氏が都知事選“敗北”を予感する理由
小池知事は当初、この出馬要請セレモニーを受け、翌29日の都議会本会議で、華々しく出馬の意思を表明する予定だった。だが、一夜にして予定を変更し、その日の出馬表明をとりやめた。
27日に立憲民主党の参院議員、蓮舫氏が都知事選に名乗りをあげたためだ。
「裏金議員、政治とカネの自民党、絶対に許さない。自民党の延命に手を貸す小池都政をリセットしてほしい」
小池都知事と裏金自民党を結びつけて挑戦状をたたきつけてきた。これは計算外だった。立憲は衆院補選や静岡県知事選などで連勝し、勢いがある。都民の人気という点では最も手ごわい蓮舫氏が、まさかリスクを承知の上で出てくるとは思いもよらなかったのである。
圧勝の自信が吹き飛び、当選できるかどうか読めなくなってきた。選挙戦略の見直しが必要になった。そのための時間が欲しい。
自民党は自前の候補を出さず、小池氏に抱きついて、選挙戦の連敗を食いとめようとしている。小池氏はというと、自民党の組織票は欲しいが、あからさまに共闘して自分も逆風にさらされたくはない。
前回の選挙で再選されて以後、小池知事は自民、公明両党と手を組む「古い都政」に逆戻りした。
今年1月の八王子市長選では、裏金事件の影響で苦戦を強いられた自公推薦候補の応援に駆けつけ、勝利に導いた。八王子を地元とする自民党東京都連会長、萩生田光一氏が小池知事と頻繁に連絡を取り合うようになったのは、このころからだ。
ところが、それ以降、「選挙の小池」の神通力に陰りが見え始める。4月末の衆議院東京15区補欠選挙で、小池知事が擁立した乙武洋匡氏は、立憲民主党の候補にダブルスコアの差でぼろ負けした。
4月の目黒区長選、目黒区の都議補選(5月26日)でも小池知事の支援した候補が敗れた。小池氏の元側近による告発手記「私は学歴詐称工作に加担してしまった」(月刊「文藝春秋」)の影響があるのは明らかだった。