多くの国の支援を退かせるウクライナの前のめりな姿勢
3つ目は、これまでの話にも通じますが、【なんでも自分でしようとしないこと】です。
6月15日から16日にかけて、スイス・ビュルゲンシュトックでウクライナ平和サミットが開催されますが、主催国はスイスであるにもかかわらず、ウクライナ政府が取り仕切る姿勢を示し、スイス議会からも批判を浴びているようで、開催前から雲行きが怪しいとの情報があります。
1月に行われたゼレンスキー大統領のスイス訪問時に、スイス政府主催で開催することに合意されていましたが、招待国のリストや招待状の内容、会議の在り方などにもウクライナ政府が悉く口を出し、スイスの面目を潰しているという非難もあります。
特にスイス政府が「平和会議を行うのであれば、ロシアも中国も参加するようにアレンジする必要がある」と方針を示したにもかかわらず、「ロシアが来ることは許さない」とウクライナ側が強く主張し、ロシアには招待状さえも出されず、それを受けて中国も欠席する旨伝え、BRICSの国々はインドを除いてすべて欠席することを表明し、さらにはグローバルサウスの国々もことごとく欠席する模様という状況に、当該会議のlegitimacy(正統性)が問われる始末になっています。
代わりに7月に中国主催でウクライナ問題を含む広範な国際情勢への対応を話し合う会合が開催される予定ですが、こちらにはすでに100カ国を超える国々が参加を表明していますが、invitationはすべての国連加盟国に送付されていることから、グローバルサウスの国々はこちらになびく模様です。
今週末に開催の平和会議はぜひ主催国であるスイス政府にそのハンドリングを任せ、ウクライナはconcerned party(当事国)として参加して、ロシアによる侵攻の不条理さとウクライナ国民の困窮している現状を訴え、一刻も早く停戦を実現し、かつ恒久的な不可侵のための国際枠組み作りを提唱することに徹することが得策かと考えます。
ただ、スイス政府によると、すでにウクライナ関係者の会議への参加登録は150名に上っており、「サミット、つまり首脳級の会合であるのに、なぜ150名も参加しないといけないのか」と疑問を呈しているようです。
できればスイス政府に花を持たせ、主催国として合意をまとめるという責任を全うしてもらい、ウクライナとしてはそれに全面的に協力するというような立場を取ったほうがいいように思うのですが、そうはいかないようですね。
このウクライナの非常に前のめりな姿勢と、Proウクライナでないコメントに異常なまでに食いつく姿勢は、実際には多くの国々の支援を退かせる方向に向いていることに気づいていないように思われます。
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