プーチン大統領サイドに見当たらない“やめる”トリガー
ロシア側については、正直“やめる”トリガーは見当たりません。プーチン大統領にとっては、戦争を続けることによって自身の権力基盤を固めることが出来ると考えられるからです。
当初3日間もあれば全ウクライナを制圧し、ゼレンスキー大統領を追放したうえで、親ロシアのウクライナを築き、同時にNATOをはじめとする欧米諸国の影響力を削ぐことが出来ると言われて侵攻に踏み切った(侵攻させられた)はずが、ふたを開ければ2年以上泥沼化した戦争に自らを引きずり込み、数万人単位で兵士を犠牲にしているにもかかわらず、目に見える成果が得られていないのは現実です。
戦争が何らかの形で停戦に持ち込まれた暁には、確実にこの責任を国民から問われることになるため、絶対的に優位な成果を引き出すまでは戦争を止めることが出来ないというように解釈できます。
最近モスクワに赴いていないので真偽のほどは分かりませんが、欧米諸国とその仲間たちによる対ロシア包囲網(経済制裁)にも関わらず、国民生活は通常を保っており、一切困窮していないという認識が多方面から提供されていますが、いくら“堪えることに慣れている”と言われるロシア国民でも、今後、戦争が長期化し、ロシア経済のボロが目立ち始めるようになると、「ちゃんと働いて食べることが出来ているから大丈夫」というラインが崩れ、日常生活への心配が拡大し始めると、プーチン王国の支持基盤が脆く崩れることに繋がりかねません。
戦争を止めるトリガーがあるとすれば、それはどのような形であったにせよ、プーチン大統領の御代の終焉を意味しますが、プーチン大統領としては自身が亡くなるなどの不可抗力でもない限り、それを許さないはずです。
実は「戦争が続く限り、自身の御代は続く」というジレンマはゼレンスキー大統領にも当てはまりますので、皮肉なようですが、プーチン大統領もゼレンスキー大統領も恐らくこの戦争を【自身の政治生命と統治の延命策】と見ているかもしれません(あくまでも私の妄想ですが)。
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