停戦仲介の任に適している「3つの国」の名
もしそうであれば、冒頭のカタールとエジプトの交渉担当者からの問いをロシア・ウクライナバージョンにして答えるとすると
「停戦の成否はロシア・ウクライナ双方にその気が本当にあるかどうかにかかっていると考える。もし双方ともに意図することは違っても答えがYESならば、初めてフラットな状況で停戦に向けた協議をスタートできると考える」
「ここで大事なのは、ウクライナ側の主張を後押しすべく、欧米諸国が強い意志を示して、ウクライナの復興にコミットする姿勢と、ロシアが再度ウクライナに侵攻したり、周辺国に侵攻したりするような事態にどのような対応を取るのかを明示することでしょう。これまでの対応を見ている限り、欧米諸国は全般的にロシアとの直接的な交戦を極度に恐れ、ウクライナにフルコミットすることを躊躇しているように感じるため、本気で停戦を後押しし、ロシアの脅威を封じ込めたいなら、迅速かつ厳格な対応策を明示することが必要でしょう」
「その上で、ロシアの話をスルーするのではなく、いかにイラっとしてもまず欧米諸国はロシアの話をまじめに最後まで聞き通すことが大事です。その際、恐らくロシアの背後から中国が対欧米非難を行いますが、それに真っ向から対峙せず、こちらは一旦スルーして、目をロシアに向けておくことが大事です。それと、欧米諸国も中国も誤解してはいけないのは、あくまでも交渉当事国はロシアとウクライナであって、欧米諸国とその仲間たちや中国とその仲間たちは、当事者面しないことが大事です。調停官としてはそれを各国に明確かつ厳格にリマインドできるか否かが信頼性確保の鍵になります」
「欧米諸国とその仲間たち、および中国とその仲間たちは、停戦に向けたロシア・ウクライナの努力を尊重すると同時に、停戦が成立したらどのような形で原状回復に努め、それをサポートするのかを明示することが大事です。停戦して協力の上復興に臨むことでどのような未来が待っているのかをクリアに描けるかどうかがカギでしょう」
「残念ながら、この仲介・調停、そしてファシリテーションの任は欧米諸国とその仲間たちが担うべきでないでしょうし、それはまた中国も適任とは言えません。日本も然りです。また紛争当事国の一つ(ロシア)が常任理事国であることもあり、国連もその任には向かないと考えます。あくまでもアイデアですが、どちらとのパイプを持ち、地理的にも隣接するトルコは仲介の任には適しているかもしれませんし、あえて外交的な交渉、特に調停に長けていて、地域外に位置するためより中立性を示しやすいカタールやブラジルも面白いかもしれません」
といったような答えを、現時点ではすると思います。
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