先日掲載の記事でもお伝えしたとおり、AI開発の現場でGPU向け開発環境「CUDA」が一人勝ちの状況となっているエヌビディア。そんな同社がついに時価総額世界一となり止まらぬ勢いを見せつけています。今回のメルマガ『『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』~時代の本質を知る力を身につけよう~』では『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』等の著作で知られる辻野さんが、エヌビディア躍進の足跡を振り返るとともに株価高騰の理由を解説。さらに同社株上昇の好影響を紹介しています。
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※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:エヌビディアも時価総額500兆円超え
プロフィール:辻野晃一郎(つじの・こういちろう)
福岡県生まれ新潟県育ち。84年に慶応義塾大学大学院工学研究科を修了しソニーに入社。88年にカリフォルニア工科大学大学院電気工学科を修了。VAIO、デジタルTV、ホームビデオ、パーソナルオーディオ等の事業責任者やカンパニープレジデントを歴任した後、2006年3月にソニーを退社。翌年、グーグルに入社し、グーグル日本法人代表取締役社長を務める。2010年4月にグーグルを退社しアレックス株式会社を創業。現在、同社代表取締役社長。また、2022年6月よりSMBC日興証券社外取締役。
エヌビディアも時価総額500兆円超え
先週、アップルがWWDCでApple Intelligenceを発表直後の同社株価がナスダック上場来高値をつけて日本円換算でマイクロソフトに次いで500兆円を超え、その後を追うのがエヌビディアだ、ということを紹介しましたが、今週はついにエヌビディアも500兆円を超えたというお話です。
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米国時間6月18日の取引で、エヌビディアの時価総額がマイクロソフトを僅差で上回り、世界で最も時価総額が高い公開企業となりました。
エヌビディアの株価は18日、前日比3.51%高の135.58ドルで取引を終えました。これにより、エヌビディアの時価総額は3兆3,400億ドル(約527兆円)となり、マイクロソフトの時価総額の3兆3,200億ドル(約524兆円)を上回りました。
エヌビディアの株価は、今月初旬に行った1対10の株式分割以来、約12%上昇しています。
同社の本年初における時価総額は1兆2,000億ドルで、これは同時期のマイクロソフトやアップルの時価総額の半分以下でしたが、そこから3倍近い上昇を見せています。これにより、1993年にエヌビディアを共同創業して以来CEOを務めるジェンスン・ファン氏の総資産は1,188億ドル(約18兆7,000億円)と推定され、Forbesの億万長者リストで世界11位となりました。
言うまでもなく、エヌビディアを始めとしたマイクロソフトやアップルの株価高騰は、現在のAIブームを反映したものです。エヌビディアの半導体は、AI開発でしのぎを削るビッグテックの間で奪い合いになっています。CNBCの報道によると、エヌビディアのAIチップ市場におけるマーケットシェアは70~95%にのぼると推定されています。
エヌビディアが時価総額で世界トップに躍り出たことを受けて、アジアを中心に他の半導体関連銘柄の株価も上昇しています。たとえば、台湾のTSMCの株価は、6月19日の台北市場で4%以上急騰し、香港市場に上場する中国の半導体ファウンドリー大手の華虹半導体(フアホン・セミコンダクター)や、中芯国際集成電路製造(SMIC)の株価もそれぞれ0.4%と1%上昇しています。韓国のサムスン電子とSKハイニックスの株価も19日の市場で一時3%高と7%高を記録しました。
また、台北市場に上場する富士康科技集団(フォックスコン)の株価も、19日に2%以上上昇しています。同社はエヌビディアと提携して、AI向けのデータセンターを構築し、ロボット工学、EV、大規模言語モデル(LLM)など、AI関連分野に力を入れています。
まさに飛ぶ鳥を落とす勢いのエヌビディアですが、今後4年内に利益ベースでアップルを抜くだろうと予想するアナリストもいます。私がソニーでVAIOパソコン事業を担当していた時代には、パソコンのグラフィックチップやカードで頭角を現し始めていた新興企業でしたが、AIブームに乗って大化けしました。
※本記事は有料メルマガ『『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』~時代の本質を知る力を身につけよう~ 』2024年6月21日号の一部抜粋です。このつづきに興味をお持ちの方はぜひご登録ください。
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