ただ一方で露烏戦争もガザ問題も、将来を固定して見通せない要素が少なからずあることを感じさせる外交も展開されている。一番の目玉は、やはりロシアのウラジミール・プーチン大統領の北朝鮮、ベトナムへの訪問だろう。ウクライナへの侵攻と西側各国からの制裁、さらに国際刑事裁判所から逮捕状が出された状況での外遊だけに注目が高まるのは無理もない。
アメリカのテレビ番組には「アジアには(プーチンの)仲間がいることをアピールした外交」と評した番組もあった。北朝鮮では同国との間に包括的戦略パートナーシップ条約(以下、条約)が結ばれた。
これに敏感に反応したのは韓国だ。KBSテレビはニュース番組のなかで「条約は23の条項から成り、そのうち問題は第4条です。『どちらか一方が武力侵攻を受け戦争状態になった場合、もう一方は遅滞なく保有するすべての手段で、軍事的及びその他の援助を提供する』という内容」だと解説した。キャスターは「28年ぶりに冷戦時代の軍事同盟が復活したとの評価もある」と結んだ。
予想された結果とはいえ、韓国大統領府はこれに激しく反応、意趣返しに「ウクライナに対する武器支援の可能性」に言及した。アメリカは素早く「歓迎」を表明したが、プーチンの反発も素早かった。次に訪れたベトナムで「韓国がもし殺傷兵器をウクライナに送れば大きな過ちを犯すことになる。ロシアも劇的な決定を下す」と警告したのだ。
アメリカ上院では、ロシアをテロ支援国家に指定すべきと超党派議員が会見。「ロシアは残虐な殺人者の小さな差別的陣営の一員と位置付けられるべき」と非難した。 だが、こうしたアメリカを横目にプーチンを迎えたベトナムは徹底した独自外交を展開し、バイデン政権を苛立たせた。
同じく東南アジア諸国連合(ASEAN)のしたたかさを発揮したのは──(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2024年6月23日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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