互いに警告。米大統領がバイデンになってもトランプになっても「第3次世界大戦」は始まるのか?

 

欧州でさえ、足元のロシア・ウクライナ戦争への対応をめぐり各国の思惑の違いを露呈させている。とくに民主選挙の結果が対外政策を大きく左右する国の宿命として、政策の持続可能性には大きな疑問符が投げかけられている。

象徴的なのは、欧州議会選挙からその勢いが収まらない極右政党に対する追い風だ。彼らの対外政策は概して移民に厳しく、ウクライナ支援にも消極的。そして反欧州連合(EU)だ。現状、さまざまな選挙で明らかになる極右政党へのウェーブは、純粋に有権者が彼らの政策に共鳴したことによって起きているのではなく、むしろ現政権や長らく政界の主流にあった勢力への批判票だ。

欧州のテレビ局が流す街頭インタビューで目立つのは、「変化が必要」という意見で、ほとんどの人は極右政党を警戒しつつも「一度やらせてみるのもよい」という選択をしていることが分かるのだ。こうした有権者の行動は移民政策への不満などから説明されることが多い。しかし現状はむしろインフレなどに起因する生活苦への不満だ。

同じ現象は米大統領選挙をめぐっても確認される。6月中旬、米公共放送PBSが行った世論調査では、有権者の関心は民主主義の護持がトップで30%、続いてインフレ(29%)、移民(19%)と続いた。民主主義の護持とインフレはほぼ同じだが、同じ時期に行われた米ABCの調査ではなんと85%の有権者がインフレを挙げているのだ。アメリカ経済が、数字から判断されるほど好調ではなく、実は苦しいことが露呈した調査結果だ。

経済の話題では、日本では常に「中国経済崩壊論」がホットだが、西側先進国の現状は、どこも輪をかけて深刻なのだ──(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2024年6月30日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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image by: Muhammad Alimaki / shutterstock.com

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1964年、愛知県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授。ジャーナリスト。北京大学中文系中退。『週刊ポスト』、『週刊文春』記者を経て独立。1994年、第一回21世紀国際ノンフィクション大賞(現在の小学館ノンフィクション大賞)優秀作を「龍の『伝人』たち」で受賞。著書には「中国の地下経済」「中国人民解放軍の内幕」(ともに文春新書)、「中国マネーの正体」(PHPビジネス新書)、「習近平と中国の終焉」(角川SSC新書)、「間違いだらけの対中国戦略」(新人物往来社)、「中国という大難」(新潮文庫)、「中国の論点」(角川Oneテーマ21)、「トランプVS習近平」(角川書店)、「中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由」や「反中亡国論」(ビジネス社)がある。

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