ボケ老人バイデンを米民主党が切れぬ訳。トランプに惨敗の大統領選TV討論会、「もしトラ」から「ほぼトラ」へ身構える世界

 

米民主党が直面する「バイデンおろし」の複雑な連立方程式

ここからは、「バイデンおろし」に関するアメリカ民主党の複雑な連立方程式について、確認しておきたいと思います。

(1)バイデンは既に予備選のプロセスで過半数を超える代議員数を獲得している。予備選は「私的な政党の私的な行事」ではなく、各州の公職選挙法に規定された手続きとして行われており、簡単にその結果を無効にはできない

(2)従って、バイデンが統一候補から降りるには、自らが辞退する必要がある。

(3)仮にバイデンが辞退した場合には、降りる条件としてバイデンが後継者指名できるという説があるが、法的根拠はない。その場合は、バイデンはハリスを指名するだろうが、バイデンが指名しても自動的にはハリスが候補にはならない。

(4)その場合には、1968年の前例(現職ジョンソンが辞退、最有力のRFKが暗殺)に即して、党大会の場で「ガチンコ」で代議員が新しい統一大統領候補を指名することになる。

(5)一方で、党大会の一発勝負では危険なので(68年には結局、無難なハンフリーを選んで負けている)予備選をやり直せという声もある。更に、再度予備選をやれば党内対立が生じて大混乱に陥って、結局は共和党を利するだけという声もある。

(6)ハリスを後継にするのには、彼女が一般的に不人気だという説がある。これは、副大統領として功績が少ないこと、人権の闘士で極左の危険人物というレッテル貼りを保守派がねちっこく続けていること、人権派だが市場主義者なので左派の支持が弱いこと、などの要素が重なっているためと考えられる。南部国境の難民問題に失敗したという評価もあるが、実はホンジュランス発の難民問題については彼女は解決に成功しているのだが、一般にはその評価は浸透していない。

(7)ハリスのもう一つの問題は、バイデンと同様に「左派と穏健派の主張を丸呑み」できるかであり、別の言い方をするのであれば「左派と穏健派の双方から積極的な支持を得られるのか」である。現時点では、彼女の言動からは、そのことが大切だという気付きの兆候はない。

(8)その他に「候補」として名前の挙がっているグレッチェン・ホイットマー(ミシガン州知事)、ピート・ブティジェージ(運輸長官)、ギャビン・ニューサム(加州知事)については、全くの未知数。特に3人共に、バイデン、ハリスを差し置いて「上を目指す」気配は、少なくとも2024年に関しては「微塵も見せたくない」というのが現時点。

(9)いわゆる「キングメーカー」として、調整を行うとしたら、バラク・オバマ、あるいはクリントン夫妻などが乗り出すことになるであろうが、まだその動きの兆候は出ていない。

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