中国は“前のめり”でもトヨタは“慎重”。レクサスが「100%出資で上海に工場整備」で狙う“テスラと同等”の待遇

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日本を代表する高級車ブランドとして世界に認知されているレクサス。そんなブランドを展開するトヨタが、100%出資で上海にレクサスの工場を整備するとの情報が飛び込んできました。日刊で中国の自動車業界情報を配信するメルマガ『CHINA CASE』は今回、6月末に米メディア大手が伝えた中国でのレクサス工場整備を巡るニュースを紹介。上海市、中国当局、トヨタ各々の思惑を詳しく解説しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:レクサス、100%外資で上海に工場整備?BEV専業工場ならば…

レクサス、100%外資で上海に工場整備?BEV専業工場ならば…

ブルームバーグが先日、レクサスが100%外資として上海市に工場を整備する方向だと報じた。

レクサスの中国生産に関しては、すでに10年以上前から議論されている。ただし、今回のはそれまでの議論の方向性と少し違う。

今までは、今までのように中国企業との合弁が唯一の選択肢だったが、米テスラがそれを打破してくれた。

上海市も基本的にウェルカムで、テスラの上海工場と同等の待遇を用意する可能性もある。

しかし地政学的リスクで中国を避ける風潮が強い中、まだまだ課題も多いという。

思えば16年前から

レクサスの中国生産の話が出始めたのは2008年が最初だ。

当時、レクサスも中国で相応に販売できる、ということを証明しつつある段階で、仮に中国生産ができれば、価格も下がり、より人気が出る、ということだった。

しかし、成長著しいと言ってもその際の年間販売はまだ数万台であり、中国生産のための投資にしてはまだ先行き不透明、ということで有耶無耶になった。

中国側が前のめり

以降、2012年には豊田章男会長(現在)がこの問題に直接言及(日本生産だからこそ意味がある、と完全否定)、2013年にも議論され、潜在的にはいつも議論のネタになっていた感がある。

その際はどちらかと言えば、「もう一つのドル箱」になると、一汽集団や広汽集団などトヨタ現地パートナーの方が前のめりで、トヨタ側が慎重になっていた。

100%外資という前例

2020年前後から年間販売20万台前後に達し、レクサスは中国でもある意味では定着した。

そしてテスラが前例を作り、100%外資でも中国に自動車工場を整備できるようになった。

トヨタの慎重さは、日本での雇用の他、中国側への利益配分や、技術、独自性の消失なども絡んでいたが、少なくとも後者に関してはうまくいけば課題は消失する。

最終決定は中国政府

上海市は自身の経済、雇用面から考えて大歓迎だ。ただし、もちろん最終的には国の判断になる。

そうなるともうビジネス問題にとどまらず、即日中の政治・外交関係になる。

現状の日中関係の環境から考えて、中国政府が単純に首を縦に振るとは思えない。

しかし、中国政府としては今、外資の投資が何よりも欲しく、それが世界最大の自動車会社ともなれば、世界に対するPR効果も大きい。

逆に、日本や海外からはトヨタが大きな批判を浴びる可能性もあるが、独VWはものすごい勢いで中国に今現在も投資している。

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